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    【第41回】左手の疲れ、指の痛みの原因 …… そのフォームが原因かも?/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    レッスンしていると、“左手が疲れる”とか“指が痛くなる”とか、けっこう相談されます。もちろん、弾いているフレーズも原因も人それぞれなんですが、わりと共通してる原因がひとつあります。

    その話に入る前に、まずこの動画を観たあと、ベースを弾くタイミングで必ずやってもらいたいことがあります。演奏しているところをスマホとかで動画に撮ってください。できれば、正面からじゃなくて、横から、例えばヘッド側から左手を狙って撮ってください。

    で、フォームのことは意識せず、お気に入りのフレーズとかをいつもどおり弾いてください。動画で左手のフォームを確認して、指の根元、付け根の関節がどうなってるかチェックしてください。

    もし、指の付け根がこうやって逆に反っていたら要注意です。 

    このフォームになっちゃってる人は、手のひらの一番上、指の付け根のあたりがネックにくっついてたり、くっつくすれすれだったりしがちなので、そこもチェックしてみてください。 

    このフォームのどこがまずいのか説明します。 

    このフォームのデメリット① 

    人間の手って、力を抜くと、だいたい手のひら側に向かって自然なアーチを描いた形になります。 手首の曲がり具合とか重力との関係で、アーチの曲がり具合は変わるけど、力を入れない限り自然なアーチは保たれると思います。

    しかし、先ほどのダメな例のフォームは、指の付け根の関節が逆に曲がっちゃってるわけです。ここがまずい。弦を押さえるためには“弦を押さえるのに必要な筋肉”を動かせばいいんだけど、このフォームにするためには、そうじゃない筋肉を使わなきゃいけないんです。指を手の甲側に引っ張る筋肉。この筋肉、使う必要がないのに使っちゃってるんですね。これを長時間やってたら、そりゃあ疲れたり痛みを感じたりするわけです。“不必要な筋肉を常に使ってること”これが、このフォームのダメな点ひとつめですね。 

    このフォームのデメリット②

    そして、弦を押さえる力って、当然、弦や指板の方向に力を向けるわけです。でも、このフォームにしちゃうと“指の根元の関節を逆向きに反らす力”って、弦を押さえるのとは真逆の方向なんですよ。指板に向けて力を使いたいのに、その逆向きに指を反らせてるという、“押しつつ引っ張ってる”みたいな、矛盾した力の使い方をしちゃってるわけです。これがふたつ目のダメな点。

    このフォームのデメリット③

    あと、ご存知のとおり、アーチって強い形で、橋とか建物に使われてますよね。力を分散しつつ、効率よく力を伝えるから頑丈なんですよね。で、指を自然なアーチの形のまま使えば、弦を押さえる力を、第一関節、第二関節、根元の3つの関節で分散できるのに、このフォームにしちゃうと、その分散に使える関節がひとつ減ってしまう。三つで分散できていた力を、ふたつの関節だけで担当しなくちゃいけないので、その関節にかかる負担も大きくなります。指が痛くなるのはこのケースが多いですね。これが三つ目のダメな点です。

    このフォームのデメリット④

    また、それと関係して、弦を押さえるのに第一関節、第二関節だけしか使えない、指の力しか使えないのがよくないです。手首とか肘とか肩とか、腕全体から生まれる力を使えないのは大きなデメリットです。ひとつの関節じゃなくふたつ、ふたつじゃなく3つ、指だけじゃなく手首、それだけじゃなく肘、肩、という風に、なるべくたくさんの力を使ったほうが楽に弦を押さえられます

    ということで、指の根本を逆反りさせないように気をつけましょう。こんな風に手のひらに卵を載せているような形がいいと思います。 

    ぜひ動画で自分のフォームをチェックして、無理のない、無駄のないフォームで弾けるようにしていきましょう。 

    ぜひ、いいね・シェア・コメント、SNSフォロー、お願いします。石村順でした! 

    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

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