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プロのベース練習、覗いてみた。– 第3回:Park

  • 取材:伊藤大輔
  • 撮影:小原啓樹
  • デザイン(ロゴ):猪野麻梨奈
  • Presented by Positive Grid

プロのミュージシャンは、どんな練習を積み重ねてきたのか?──本連載では毎回、異なるベーシストに登場いただき、自身の練習遍歴や現在のルーティンについて語ってもらう。

第3回に登場するのは、ベーシスト/プロデューサーとしてクレイジーケンバンドをはじめ、ゆず、いきものがかり、森口博子、TOOBOEなど、多くのアーティストを手がけるPark。“客観的に自分のリズムを捉えること”が大事だと語る彼に、ベース練習の哲学から、おすすめの基礎練、エクササイズの発想法、そして自宅練習ツールとして話題の多機能型スマート・ヘッドフォン、Positive Grid“Spark NEO”のインプレッションまで、たっぷりと語ってもらった。

目次
・Parkが語る、プロ・ベーシストの“自宅練習”
・Positive Grid “Spark NEO” × Park

Parkが語る、
プロ・ベーシストの“自宅練習”

Park × Spark NEO

メトロノームに合わせて弾くって、弾くだけなら誰でもできるというか。それがいいノリで弾けてるか客観的に自分のリズムを捉えられないと、あまり成長につながらない。

 以前からフレーズを弾けるようになるためにたくさん弾いていましたが、練習という意識も薄く、それこそリズムに関してはわりと無頓着でした。

 はじめて“練習”を意識したのは、高校生の頃にライヴハウスで演奏をしたとき。自分たちの出番が終わって店長さんに“君たちはリズムがひどいからもっと練習をしなさい!”と言われて練習方法を教えてもらったことがきっかけでした。そこから音楽的な練習を意識するようになりました。

 そうですね。でも、その頃はただメトロノームに合わせて曲を弾いていただけで、リズムがズレているかどうか、そこまでわかっていなかったと思います。あまりメトロノームのことをちゃんと理解していなかったというか。

 メトロノームに合わせて弾くって、誰でもできるんですよ。でもそれが合ってるのか、ズレてるのか、客観的に自分のリズムを捉えることができないと、あまり成長につながらないと思っていて。それってけっこう難しいことだと思うんです。

 はじめて自分でレコーディングをしたものを聴いたときですね。“あれ、自分ってもっと上手なはずなのに、全然カッコよくないじゃん!”って(笑)。そこでリズムがズレていることに気が付いて、客観的に聴くことを知りました。

 毎日必ず行なうストレッチなどのエクササイズに加えて、メトロノームを鳴らしながらスケールの練習をしたり、3連符で弾いてみたり、同じフレーズをbpmやアクセントを変えて弾いたりしていました。学生の頃は毎日練習内容をメモしていて、とにかくいろんな練習方法を試したりしていました。

 僕は何でも紙に書き留めたほうがイメージが沸きやすいんですよね。書くことで思い出すのもラクになるし、忘れるのも防げます。

Park 練習メニュー メモ
Parkが現在行なっている基礎練習メニューのメモ

 僕は練習を細分化するのが好きで、例えばフレーズ、リズム、指のストレッチなどというようにカテゴリーで分けたり、あとは自分を演奏を向上させる練習と、技術を持続させるための練習に分けたりもします。

 ほかにも左手・右手で分けたりと、細かく分けた要素を網羅して、それらをつなぎ合わせることで演奏にむずび付けていきます。

 例えば自分が弾けないフレーズにぶち当たったときに“なぜ弾けないのか”を常に考えるようにしています。右手の動きが追いついてないのか、左手の運指がうまくいっていないのか、理論的に把握できていないからなのか、など、細分化することで弾けない要因が見つかると思っています。

 もし、右手のピッキングが原因なら、それを克服する練習をしてから、弾けなかったフレーズを弾いてみる。こうやって克服していく方法が目指すべきゴールに一番早く辿り付ける方法だと思います。あと、神経症で左ヒジの手術をしたことも、ひとつの理由です。ただ闇雲に弾いてるだけじゃ自分はダメだなって。

“練習したものを聴く”ことはすごく大事で、これをやることで上達も早まると思います。

Park × Spark NEO

 15分を計測できる砂時計です。練習はひとつのメニューを15分間を集中して取り組んで、途中でも時間が来たら終了します。このやり方が僕にとっては効果的なんですよね。

Park愛用の砂時計
Park愛用の砂時計

 その日によってですが、できるときは基礎練習で2時間くらいですかね。その時間内にできることを考えて、メニューを調整します。ライヴで弾く曲に弾きづらいフレーズがあったりしたら、それを組み込んで練習をしたりもします。

 それと15分に分けたり、長時間の練習をしない理由は、練習を必ず録音して聴き返すからなんです。メトロノームや曲に合わせてただ弾くだけでは、客観的な判断が難しいので。なので15分間の練習のときも、弾いてる時間が7分、聴き返す時間が7分、みたいなときもあります。長い時間弾くこともありますがそうすると聴き直すのが大変なので(笑)。

 そうやって練習すると“このフレーズでズレやすい”みたいなこともわかるので、次の練習ではその部分を意識できるようになります。ですから“練習したものを聴く”ことはすごく大事で、これをやることで上達も早まると思います。

 基本的には録りながら練習をするので、楽器をオーディオ・インターフェースにつないで、モニター・スピーカーから音を出しながら弾きますね。

 それこそこの連載で高木さんが紹介していたクロマチック・フレーズは、自分の運指練習のメニューにはなくて、とてもおもしろかったので取り入れさせてもらいました。あとリズム系だと“2つのなかに3つを入れる”という練習は好きで良くやっていますね。

 例えばBPM100で2拍子のなかに3つの音を入れたり、それを3連符にしたりします。あとは4拍のなかに3つの音にして、それを行ったり来たりできるようにします。違うリズムのなかで泳ぐようなイメージですね。(動画↓の【Ex-1】)

▼ 実演 &解説 動画も公開!▼

 コード・トーンを追う練習だと、例えばツー・ファイブ進行で“Dm7-G7-C△7”と展開するときにコード・トーンとなるルート、m3rd、5th、7thを自由な順番で弾きながら自分の好みの響きを探していきます。ジャズの発想も学べるし、フレーズを組み立てる際の訓練にもなります。(動画の【Ex-2】)

  今まで話してきた演奏面とは違いますが、学生の頃は音感のトレーニングが苦手で、けっこう苦労しました。ベースって弦を弾けばどんな複雑な音階でも弾けるじゃないですか? 良くも悪くも。でもベースが手元になくても口で人にベース・ラインが伝えられるほうがいいと思うんですよね。指だけが動くプレイじゃなくて、ちゃんと音楽的に理解して、自分のなかで生まれた表現をベースに落とし込めたらいいなと思ってます。

Positive Grid “Spark NEO”
× Park

スマート・アンプでおなじみのPositive Gridが手がけたSpark NEOは、ヘッドフォン・スタイルで自宅練習の自由度を大きく広げてくれる注目アイテムだ。Spark NEOを使った自宅練習の可能性について、Parkに聞いた。

Spark NEO
Positive Grid / Spark NEO

遮音性も高いからライヴ前の楽屋のようなざわついた空間でも集中できそうです。

 すごく便利ですね。ワイヤレスなのにレイテンシーも気にならないし、音もしっかりと鳴ります。遮音性も高いからライヴ前の楽屋のようなざわついた空間でも集中できそうです。本番前のフレーズ・チェックだったり、そういうときにひとつのヘッドホンで音源も流しながら弾けるのはすごく良いです。

Park × Spark NEO

 音色はどれもモデリングしているアンプの特性を掴んだ音で、個人的にはRB-800が好きでした。もっとベース・アンプのバリエーションが増えてくれると、さらに嬉しいですけどね(笑)。僕は同じPositive GridのBiasAmp(DAWのアンプシミュレーター・プラグイン)を使っていて、それと似た傾向の音色だと思いました。あとはEQが良かったです。おいしいポイントにかかってくれて操作性もシンプルなので、気持ち良い音が作りやすい印象でした。

 アプリは初見でも迷わずに使えて操作もしやすいです。練習という意味ではチューナーやメトロノーム機能があるのも嬉しいですね。Apple MusicやYouTubeと連携して楽曲と一緒に演奏できたり、コードも分析してくれるので耳コピいらずです。AI機能も充実していてリクエストしたらトーンを作ってくれたり、あとはループ機能を使って自分のフレーズのうえに重ねてソロを弾く練習をすることもできます。Spark NEOにはいろんな機能があるので、飽きずに練習に取り組めるところが良いなと思いました。

Park × Spark NEO
トランスミッターとのセットで接続も簡単。低レイテンシー設計により音切れもなく、快適なプレイが可能。ヘッドフォン、トランスミッターともに付属のUSB-Cケーブルで充電して使用する。
Park × Spark NEO
専用アプリSpark Appと接続すれば、音作りからジャム・セッションまで多彩な機能が利用可能だ。33種のアンプと43種のエフェクト、10万以上のToneCloudトーンにアクセスでき、ベース用のアンプやエフェクターもラインナップされている。
Positive Grid Spark アプリ画面
ギャリエン・クルーガー製800RBのトーンにインスパイアされた“RB-800。”
Positive Grid Spark アプリ画面
Sunn製300Tのトーンにインスパイアされた“Sunny 3000”。
Positive Grid Spark アプリ画面
定番ベース用コンプを彷彿させるトーンを再現した“Bass Comp”。
Positive Grid Spark アプリ画面
多彩なプリセットが並ぶクラウド、“ToneCloud”の画面。“ToneCloud”からダウンロードした音色は、Spark NEO本体に保存も可能だ。
Sparkアプリには、リアルタイムでコード表示する“Auto Chords”や、思い描いたトーンを言葉で伝えるだけで最適なサウンドを提案する“Spark AI”といったAI機能も搭載。練習やジャムセッションを彩る、多彩なバッキングトラック機能にも注目だ。
Park × Spark NEO

▼ Positive Grid “Spark NEO”の紹介記事はこちら ▼

 

Positive Grid / Spark NEOの公式ページはこちらから。

◎Profile
Park(ぱーく)●1989年生まれ、滋賀県出身。2013年にバンドVoice of Mindでデビュー。ライブ活動と並行し、アイドル・グループやテレビ番組への楽曲提供のほか、サウンド・トラック制作、CM楽曲などを手がける。バンド解散後はフリーのミュージシャンとしての活動を開始し、クレイジーケンバンドをはじめとするアーティストやバンドのプロデュース、テレビ番組のテーマソングの編曲、ゆず、いきものがかり、森口博子、TOOBOEなどへのレコーディング参加、劇伴音楽やTVCM楽曲の制作などを行なう。またgurasanpark名義で発表したソロ作品は海外でも高い評価を得ており、2024年にはマレーシアで開催されたBuskerfestへの出演を果たす。2025年3月2日にソロ最新作『Speedify』を発表した。

◎Information
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