プランのご案内
  • PLAYER

    UP

    Interview – Ken Mackay[w.o.d.]

    • Interview:Kengo Nakamura
    • Photo:Ayumu Kosugi

    もっといろんな幅があると思えたというか、
    もっと挑戦したいなって気持ちが強くなっています。

    ━━Kenさんは歪んだ音が特徴的です。先ほど、本作のレコーディングはアンプの音が多いということでしたが、普段エフェクターまわりで使っている機材は?

     ライヴではWay Hugeのエフェクターを使っています。レコーディングでは1枚目のアルバムから使っていましたね。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが大好きで、あのバンドのメンバーも、ベース以外にギターにもWay Hugeを使っていたりするので、その影響もあります。最初はベース用のモデルがなかったから、ギター用のSaucy Boxをふたつ使って、メインの歪みと、ふたつ踏んでさらにデカい歪みにするみたいな使い方をしていました。今はベース用のPork & Pickleをメインに、Saucy Box、Conquistador Fuzzstortionの3台を入れています。ただ今回のアルバムからは、そのメインを変えたほうがいいのかなとは思って、今、試行錯誤してしますね。けっこう音を変えないと、『感情』の曲の表現は難しいかなって。

    ━━それは歪みの質感がということですか?

     そうですね。Way Hugeはわりとギター寄りと言うか、重心が高めなんです。これまでのw.o.d.でベースから始まる曲だったら、それでリフ感がいい感じに出たんですけど、今回はそれだけじゃ通用しないなって。もうちょっと低いところも出つつ、存在感があるようなエフェクターを探していますね。

    ━━ということは、『感情』ではベースが演出するボトム感をより重視して、重心が下がってきているということでしょうか?

     そうかもしれない。ロー感が出たほうが気持ちいい曲が増えている気がします。それで、今ちょうど試しているやつが、プリアンプなんですけど、TronographicのRUSTY BOX。ロー感がいい感じに出るので、もしかしたら既存曲も含めて、今後はこれをメインにするかもしれません。

    ━━また、ベースはトーカイのハードパンチャーを使っているのも珍しいですね。

     これはトシさんの影響ですね。1枚目では使っていなくて、2枚目くらいから使っています。実は、俺は機材とかにはそんなに興味がなくて。わりと見た目とかで決めちゃうんですけど、“いいベースあるよ”って教えてくれたのがトシさんで。ヤフオクに1万7千円くらいで出ていて、買って弾いてみたらいいなと思ったので使うようになりました。

    ━━「Kill your idols, Kiss me baby」はいなための丸い音でギブソンっぽい音だなと思ったのですが?

     レコーディングで使ったベースは全部同じなので、この曲もハードパンチャーなんですよ。確かに、ほかの曲に対して全然違う音がしていると思うんですけど。

    ━━「Kill your idols, Kiss me baby」は16ノリのダンサブルなラインで、マッドチェスターっぽいノリですね。

     これもプライマル感を出しつつという感じですけど、指で弾いてもよかったのかなとも思いますね。これもサイトウさんが考えてきたもので、横にノレるようなループしたベースだといいなって。彼はけっこうベース・ラインを作るのがうまいし、“こういう感じでやるとカッコいいと思う”っていうことを言ってくれるので、それを参考にしながらやりますね。

    「Kill your idols, Kiss me baby」(OFFICIAL MUSIC VIDEO)

    ━━ベーシスト以外の作るベース・ラインって、意外と弾くのが難しい場合もありますよね?

     そうなんですよね。手の動き方だったり。w.o.d.だと、同じベース・ラインをずっと弾き続けるみたいなものを指定されたりもして、「モーニング・グローリー」が自分的には一番キツい曲で、筋トレのようなベース・ライン(笑)。そういう意味では「Kill your idols, Kiss me baby」はまだマシなんですけど、これも修行だと思ってやっています。

    ━━「Sunflower」は、歌のある部分は全体的に高いポジションでのアプローチで、ところどころ和音的に音を重ねて美しいですね。

     これもデモにあったものでした。コード弾きはけっこう自分も好きなほうで。シューゲイズ感を意識して弾いてはいますね。

    ━━後半はボトムに下がってどっしりとしたラインに変わりますが、それによって楽曲にドラマが生まれています。

     ベースがどの位置にいるかは大事ですよね。この曲は基本的には同じループを繰り返して、2Bあたりでちょっとコード感が変わって気持ちよく浮遊感を出して、ドラムとギターだけになるところがありっていう感じですけど、最後に向けて“デカく”はしたかったかな。最後に向けてどんどんアゲていくというか。

    ━━なるほど。ベースの位置が変わることによって、レンジの広がりが出ていますよね。さて最後に、『感情』はKenさんにとってどういう作品になりましたか?

     個人的にはすごく納得できるアルバムですね。ベース的にも自然に作れたし、すでに大事なアルバムになっています。3枚目までだと、それを理解するのに時間がかかったというか。このアルバムを作ったことで、w.o.d.にはもっといろんな幅があると思えたし、もっと挑戦したいなって気持ちが強くなっています。ベーシスト的にも、音に関しては“歪みだけじゃないよ”とか、プレイ的には“スラップもまたやってみようかな”とか、もっといろいろできるなって思える作品になりました。作品としても最高なのでみんなにも聴いてほしいし、ぜひコピーもしてほしいですね。

    ◎Profile
    ケン・マッカイ●1994年8月11日生まれ、兵庫県出身。中学でベースを始め、中学生の頃に同級生であるサイトウタクヤ(vo,g)とw.o.d.を結成。2015年には『RO69JACK』や『出れんの!?サマソニ!?』などのコンテストで入賞するなど話題を集める。2018年に1stフル・アルバム『webbing off duckling』をリリース。2022年9月21日に4thフル・アルバム『感情』を発表し、10月1日(土)@神戸・太陽と虎を皮切りに全国ワンマン・ツアーを行なう。ファイナルは、11月17日(木)@東京・Zepp DiverCity TOKYO。

    ◎Information
    w.o.d.
    Official HP Twitter Instagram YouTube

    Ken Mackay
    Twitter Instagram