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    INTERVIEW – 山本慶幸[トリプルファイヤー]

    • Interview:Shutaro Tsujimoto

    最近はオルガンにハマっていて、デルヴォン・ラマーっていうオルガン奏者をよく聴いています。

    ━━今作で使用した機材について教えてください。

     あまり覚えてないのですが、確かジャズベは2曲か3曲で、あとは全部プレベだったと思います。細かいフレーズとかになるとジャズベのほうが断然弾きやすいので、「諦めない人」とかは確かジャズベだったような気がします。あとは「相席屋に行きたい」みたいな派手な曲はプレベのほうが合ってるかな? みたいな。最近のライヴでは基本的にプレベをメインで使っています。

    ━━レコーディングでは、それぞれ何テイクくらい演奏しましたか?

     そんなに何度もテイクを重ねてはないですね。「サクセス」とかは1、2テイクとかだったと思います。ベーシックは2日で5曲ずつ録ったんじゃなかったかな? それまでにちゃんと準備をしていたので、そんなに大変ではなかったと思います。

    前作『FIRE』のレコーディングから導入されたフェンダー・プレシジョン・ベース。2012年にリニューアルされたアメリカン・ヴィンテージ・シリーズで、本機は2013年製だと思われる。
    大学の入学祝いに買ってもらったという1974年製のフェンダー・ジャズ・ベース。『EXTRA』のレコーディングでは、両ベースともにフラット・ワウンド弦を張って演奏された。

    ━━レコーディングではエフェクターも使いましたか?

     レコーディングではほとんど使ってないですね。ライヴでは曲によってアギュラーのコンプレッサー(①)をかけてるぐらいですかね。electro-harmonixのQ-TRON(⑤)やFree The ToneのBLACK VEHICLE(④)は『EXTRA』の曲では使っていなくて、昔のアルバムからの曲で時々使っているくらいですね。ボスのLS-2(ラインセレクター)はQ-TRONにセンド・リターンで接続していて、Q-TRONをとおすと音が激変してしまうので原音を残すために使っています。

    ①:アギュラー製TLC Compressor(コンプレッサー)、②:ボス製LS-2(ラインセレクター)、③:コルグ製Pitchblack XS(チューナー)、フリーザトーン製BLACK VEHICLE(オーバードライブ)、⑤:electro-harmonix製Q-TRON(エンヴェロープ・フィルター)
    エフェクター・ボードの裏側。Voodoo Lab製Pedal Power X4(パワー・サプライ)がセットされている。

    ━━ベース・アンプはどんなものを使っていますか?

     『EXTRA』のレコーディングでは確かスタジオにあったものを使って、ライヴではアルビットのB-450Aを使っています。アルビットのベース・アンプはもう10年くらいずっと使ってますね。前はB-200を使っていたんですけど重すぎて(笑)。その後継モデルのB-450Aが出たときには、発売直後に買いにいった記憶があります。

    ━━アルビットのどんな点を気に入っていますか?

     “良い音を出すためにはでっかくて重いトランスがなきゃダメだ”みたいな、そういう職人みたいな良い意味で古臭い考え方がカッコいいな、おもしろいメーカーだなと思っています。あとはロー・ミッド、ハイ・ミッドのツマミがあってEQが4バンドに分かれているところが好きですね。B-200を使い始めてから、ずっとアルビットのファンみたいな感じです。

    ━━ところで最近はどんな音楽を聴いていますか?

     最近はオルガンにハマっていて、デルヴォン・ラマーっていうオルガン奏者をよく聴いています。右手で普通の鍵盤のプレイをしながら左手でベース・ラインを弾いてるんですけど、それがすごくて。実は自分も最近ピアノを習ってるんですけど、全然うまくならなくてびっくりしています(笑)。

    ━━今作のサブ・ローが効いたようなベース・サウンドからはダブの影響も感じましたが、そういった音楽を聴くこともありますか?

     ちょうど最近、人から“ダブをちゃんと聴いてみて”と言われたので聴いていたんですけど、暑い季節に合っている音楽だなということがよくわかりました。

    ━━鳥居さんの話ばかり出してしまいましたが、最近のヴォーカル吉田(靖直)さん、ドラム大垣(翔)さんについては、どう見ていますか?

     みんな綺麗におじさんになったなと(笑)。吉田はどうだろう……変わってない。変わってないのが逆にすごいことなのかもしれませんが。

    ━━演奏面に関してはどうですか?

     多分みんな昔よりもうまくなってるというか、対応はできるようになっているんだろうなと思います。鳥居くんに“もっとこうしてほしい”って言われたときに、できるようになるまでの時間が短くなっている気がします。

    ━━それぞれのメンバーの練習の成果でしょうか?

     そうですね。“ちゃんとやらなきゃな”と思いながらやってますし、みんな練習はしていると思います。自分はどうかな……追い込まれないとやらないというか、夏休みの宿題を最後のほうにやるような人間なので(笑)。

    ━━近年は、butajiさんのバンドのサポート・ベーシストとしても活躍していますね。

     今はbutajiさんからしか声はかかってないですけど、そういう依頼もお待ちしています。よく言ってるのは、“僕とバンドをやると福利厚生でギター修理がついてきます“っていうので(笑)。スタジオの練習の合間とかでネックが反ってないか見てますから。

    ━━サポートで得た経験をトリプルファイヤーに持ち帰るようなこともあるのでは?

     バンドとサポートだと立場はちょっと違うので、“次のスタジオではこの曲をやります”って言われたらちゃんと準備しないとダメだろうなと思いながらやっています。だからトリプルファイヤーで、“この日のスタジオまでに、この曲を思い出しといてね”みたいなときに、ドラムとかができていなかったら、“サポートだったらもうクビですよ”と言ったりしますね。

    ━━最後に、ベーシスト/ミュージシャンとして今どんなことに興味を持っているかを教えてもらえますか?

     今はもうちょっと鍵盤が弾けるようになりたくて練習してますね。最近はよく、渋谷La.mamaに出るときとかに、タイミングが合えば渋谷マークシティにあるストリート・ピアノを弾きに行ったりしています。ベースは人前で弾ける技術があると思うんですけど、ピアノは全然うまくならなくて不思議です。遠回りしてベースに持って帰れるものもあるだろう、と思いながら日々やっています。

    ◎Profile
    やまもと・よしゆき●1986年7月12日生まれ、東京都出身。中学時代にジャンケンに負けてベースを始める。大学入学後、軽音楽サークルで知り合った吉田精直(vo)と大垣翔(d)とともにトリプルファイヤーを結成。バンドの先行きに暗雲立ち込めた2010年、吉田が連れてきた鳥居真道(g)が加入し、音楽性が確立、体勢を立て直す。2012年には初音源『エキサイティングフラッシュ』を発表し、精力的にライヴ活動とリリースを重ねる。山本はLUCKY SOUNDという屋号で東京インディーギターテックを名乗り活動、ギター工房Astronauts Guitarsの立ち上げにも携わり、リペアや製作などを担当している。好きな芸能人は多部未華子、趣味は献血とバンド漫画集め。2024年7月17日、前作の4thアルバム『FIRE』(2017年)以来となるアルバム『EXTRA』をリリースした。9月25日には『EXTRA』収録曲のインストゥルメンタル・ヴァージョンを惜しみなく完全収録した豪華2枚組仕様のCDも発売される。

    ◎Information
    トリプルファイヤー Official HP X Instagram
    山本慶幸 X