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    INTERVIEW – KOHEI[COLLAPSE]

    • Interview:Koji Kano

    オンリーワンというよりも職人的なベーシストになりたい。

    ――印象的なベース・ラインだと、「GARDEN」はリフ的なアプローチのフレージングが浮いていて、特有の浮遊間につかながっています。全篇を通して音使いには統一性もありますが、音価をコントロールすることで飽きのこないアレンジになっています。

     この曲はSHOKO(vo,g)ちゃんが作ったんですけど、僕の引き出しではない曲だったので、ベースをどうするかは悩みました。だから自分のなかでは苦戦したフレーズで、レコーディングも一番時間がかかったんじゃないかな。普通にルートを弾いたらNGを出されたので(笑)、変化球的なイメージでラインを作りました。スケールを広く使うイメージで、ハネる感じを出しつつ、ほかの曲とちょっとノリを変えています。あまり歪ませないほうがいいかなと思ったけど、SHOKOちゃんに“歪ませてほしい”と言われたので、ダークグラスでけっこう強めに歪ませていますね。

    『GARDEN』Music Video

    ――今作を聴いていても、“ギターが過激に歪んでいる=ベースも攻撃的に歪ませる”っていう考え方はシューゲイザーでは違うんだろうなと感じました。

     僕もいろいろ試してわかったんですけど、原音が死んだら音は前に出ないんですよ。轟音のなかでベース・ラインをしっかり残すことは大事だし、どうしても原音からゴリッと歪ませたくなるけど、そうなるとラインが見えなくなるので、そのバランスは見極めています。でもクリーンだと弱すぎて聴こえないし、いかにラインが見えるように歪ませるかっていうのは、ピッキングも含めて重要な考え方だと思います。

    ――ではライヴ時だといかがでしょう? ツイン・ギターの轟音の壁があるので、そのなかでベースの存在感を出すためには工夫も必要かと思いますが。

     ライヴ時だと、Two notesのTorpedo CAB M+というキャビネット・シミュレーター兼DIみたいなモデルをアンプのうしろに挿しています。基本的にライヴだとDIから直接PA卓に信号が行くので、外音にアンプの音は関係ないじゃないですか。でもそれだと外音はPAさん次第になっちゃうのがちょっと怖くて。でもアンプからキャビネット・シミュレーターを通った音がPA卓に行けば、実際にキャビネットから出ている音とそこまで差異はないかなと。これを使い出してからベースの抜けが良くなったってまわりからも言われますね。

    ――なるほど。そういった工夫が。

     あと音作りだとミドルも重要で、apiのTranZformer LX(イコライザー/コンプレッサー)で400Hzをちょっと上げているんですけど、この400Hzがけっこうキモ。ロー寄りのミッドですね。500Hzより400Hzのほうが効くんですよ。サンズアンプとMXRのイコライザーは500Hzの設定なので、コレで400Hzを上げるとすごく存在感が出る。基本ロー・ミッド自体はボワつく原因になるのでカットすることもあるんですけど、400Hzを上げると芯が出て太い音になるんです。

    ――KOHEIさんはグレコのエンドーサーでもあるとのことですが、現在のメイン・ベースについて教えてもらえますか?

     BGB-1500っていう2018年の限定モデルですね。とにかく軽いし、ネックの握り具合も絶妙で、日本人の体格に合ったベースだと思います。でもエンドーサーではあるんですけど、ストリング・ガイドからネック・プレートまでパーツ類は全部換えちゃっていて、残っている部分は木材だけ。ほぼ別ものなんですよね(笑)。ちなみに同じモデルを2本持っていて、使い分けています。

    ――2本における違いとはどういった部分になるのでしょうか?

     チューニングが一音半下げということもあって、1本目には裏通し加工をしていて、リア・ピックアップにミュージックマン・タイプを載せています。PBタイプのアタック感とハムバッカー・タイプのピックアップのバランスがめちゃくちゃ良くて気に入っていますね。2本目は裏通し加工をしていなくて、ピックアップはPJレイアウトでバルトリーニを載せていて、プリアンプはどちらにもアギュラーの18Vを搭載しています。それぞれ最適なセッティングになるように改造したイメージですね。

    KOHEIが所有する、2本のグレコ製BGB-1500。メイン器としては右側の、リア・ピックアップにミュージックマン・タイプを載せたものを使用している。両器ともに各所に改造を施しているが、ベース本体のヴォリュームをハズしている点がポイントで、ヴォリューム調整はエフェクト・ボード内のLimetone Audio製LTV-30L-ilm(ヴォリューム・ペダル)で制御している。

    ――最後に、バンド、そしていちベーシストとしての今後の目標を教えてください。

     とりあえず今年一年はツアーがあったり大きなイベントもあるので、年内のライヴを全部成功させることですね。今作はコロナの影響もあってリリースが3年も遅れたので、次のアルバムはでき次第すぐ出したいです。ベーシストとしては、オンリーワンというよりも職人的なベーシストになりたいかな。派手なプレイで魅せるのではなくて、8ビートで丁寧に仕事をするBOØWYの松井常松さんみたいな。そういう存在になれたらいいですね。

    ◎Profile
    こうへい●前身バンドを経て、2013年に自身が中心となり、シューゲイザー・バンドCOLLAPSEを結成。2015年より本格的な活動を開始し、これまでに2枚のミニ・アルバムと6枚のシングル(配信含む)発表。甘く儚さを持った轟音シューゲイズ・サウンドで人気を博し、これまでに台湾や韓国、中国でもツアーを行なうなど、国内外問わず活動を展開する。2022年6月22日に待望の1stアルバム『BLACK SHEEP IS STILL DREAMING』をOnly Feedback Recordよりリリース。本作はインドネシアやアメリカのレーベルからもリリースが決まっている。KOHEIはグレコとギャリエン・クルーガーのエンドーサーでもある。

    ◎Information
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