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INTERVIEW – ニコル・ロウ(インキュバス)

  • Question:Koji Kano
  • Translation:Tommy Morley
  • Photo:Kazumichi Kokei(Main),Chika Suzuki(Page 2)

あの頃のことは、思い返すだけでとても温かくてハッピーな気分になる。

━━あなたのサポート・ワークのキャリアには、ファット・ジョーやレミー・マー、タイ・ダラー・サインなど、ヒップホップ系のアーティストが多く存在していますね。

 そうね。私はヒップホップやR&B、ジャズっぽいソウルが大好きなの。ロサンゼルスで数年間自分のバンドをやっていたとき、ソウルのカバーだったり、そういった音楽を重点的にやっていたこともあった。とはいえ、そういった音楽性の現場はメインの活動ではなかったから、ちょっとしたサプライズ的な感じもしていたの。私は誰かにオファーされたときはどんなジャンルでも幅広くプレイするけど、その一方で個人的に好んで聴くものはもっとソウル寄りな感覚なの。

━━ヒップホップやR&B系のアーティストの場合、シンセ・ベースでのプレイも求められると思います。実際、あなたもシンセ・ベースをプレイするようですが、いつからどんなきっかけで始めたのですか?

 これにはおもしろい話があって、どうやってシンセ・ベースをプレイしたらいいのか、長らくわかっていなかったのよね。私はもともとエレクトリック・ベースだけをプレイしていたくて、シンセ・ベースを触ろうとすらしてこなかったの。でも“ライヴで必要なんだけどプレイできないか?”と連絡を受けたとき、“もちろん、できるわ”って嘘の返事をしたの(笑)。それから1ヵ月くらいかけてサウンドの作り方、プレイの仕方、マシンとしての扱い方を学び、楽曲に対しての最適なアプローチを把握していったって感じね。

━━マイリー・サイラスのサポート時にはアップライト・ベースも使用したそうですね。こういった幅広いプレイのスキルは、サポート・ベーシストとして活動していくうえで重要なことだと考えていた?

 そういったさまざまな楽器をプレイできるようになることは、キャリアを歩むうえで重要なことだと思うわ。必須というわけじゃないけど、できること/イエスと答えられることを増やすことで仕事の機会を得られやすいからね。私はどんなジャンルもプレイできるけど、それは必ずしも過去にプレイした経験があるわけではなく、単にすべてのオファーにイエスと答えているからなの。いつか自分が本当にプレイしたいものをそのなかから選ぶときが来ると思っているけどね。

━━あなたのキャリアでひと際目を引くのが、2018年から2023年まで務めたパニック!アット・ザ・ディスコでのサポートです。この5年間はあなたの名を一気に世間に広めるひとつのきっかけにもなったと思いますが、ここでの仕事をどう振り返りますか?

 あの頃のことは、思い返すだけでとても温かくてハッピーな気分になる。あの現場はとても素晴らしくて、みんなファミリーみたいな人たちだった。でも正直、最初に声をかけてもらったときはここまで大きなことになるとは思わなかったの。ポジション的にはサポート・ミュージシャンって感じで始まったけど、“バンドに属している”って感覚で、アーティストとバック・ミュージシャンという関係とは違っていた。ファンたちにとっても大切な存在になれるよう努めたし、それは自分の見せ方にも表れていたと思う。次第にバック・バンドのメンバーもファミリーとして扱われるようになったからね。パニック!アット・ザ・ディスコとインキュバスはそれまでのほかの現場とは異なる感覚があったわ。インキュバスにはその後正式に加入したけど、この2バンドでの経験は本当に大きなものだったと思う。

ベース・マガジン2024年8月号(Summer)でもニコル・ロウのインタビューを掲載中。インキュバスへの加入に至った経緯のほか、先日リリースされた再録作『Morning View XXIII』におけるベース・アレンジの裏側など、BM Webとは別内容にてお送りしています!

同号の表紙巻頭企画は『亀田誠治・亀の60年』。
今年還暦を迎える亀田誠治を、ロング・インタビュー、愛聴盤や愛器の紹介、King Gnuの新井和輝との対談など、50ページ超の大ボリュームで深堀りします。亀田誠治の珠玉のベース・プレイが6曲収録されたベース・スコア小冊子も付属!

そのほか、奏法企画や注目のベーシストのインタビューなど、さまざまな記事を掲載しています。ぜひチェックしてみてください!

◎Profile
ニコル・ロウ●1991年6月30日生まれ、米カリフォルニア州フレズノ出身。デフトーンズやサブライムなどのロック・バンドに影響を受け、17歳でベースを始める。18歳で音楽学校MIに入学し、ロサンゼルスを拠点にベーシストとして活動を開始。これまでに数多くのアーティスト・サポートを手がけ、2018年~2023年にはパニック!アット・ザ・ディスコのツアー・メンバーとして活動する。2020年にはソロ名義でのシングル「Headspace」を発表している。2023年3月からサポート・ベーシストとしてインキュバスに参加し、今年2月に正式メンバーとして加入。インキュバスは、2001年作『Morning View』の再録アルバム『Morning View XXIII』を2024年5月にリリースした。

◎Information
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