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【第51回】2フィンガーのリズムを安定させるエクササイズ/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜
- Text:Jun Ishimura
今回は、2フィンガーのリズムを安定させる基礎練です。
“リズムが安定しない”という症状は、もちろん“音を出すタイミング”がまずいという問題ではあるんですが、“音を出すタイミングだけ”を意識してもなかなか改善しません。なぜかというと、音を出すタイミングが安定しないのは“音の長さ”を感じられていないからなんです。音の長さというのは“音と音の間”です。つまり“音を出すタイミングと次の音を出すタイミングの間”です。そこを感じられたら、音を出すタイミングがより安定します。
具体的に見てみましょう。
例えば8分音符のフレーズ。一番シンプルなルート弾きを題材にします。ワクワクしない題材かもしれませんが、これだと“左手の運指”も“右手の弦移動”も出てこないので、純粋に2フィンガーを安定させることだけに集中して練習できます。ここでは3弦開放のAにしていますが、どの音でもいいです。
これを弾くときに、4分音符レベルだけでリズムを感じがちな人、つまり、“1234”という拍のオモテだけでしかリズムを感じてなくて、ウラはなんとなく弾いている、という人が多いです。それだとリズムは安定しません。
“フレーズの最小単位”である8分音符レベルでリズムを感じられるなら、もう少しリズムは安定します。
これを身につけるには、ただ“1234”とカウントするんじゃなく、例えば“1&2&3&4&” (&が拍のウラ)とか“ダバダバダバダバ” (ダがオモテ、バがウラ) と言いながら、それに合わせて弾く練習をするといいです。
ただ、もっと言うと、“フレーズの最小単位”の少なくとも“倍の細かさ”でリズムを捉えられると、その最小単位のリズムがもっと安定します。このフレーズの場合だと、フレーズの最小単位=8分音符の倍の細かさは16分音符です。
この●の部分が、今回のテーマの“音と音の間”ですね。
では、この部分を感じるためのエクササイズをやりましょう。“音と音の間”を感じるためには、その“音と音の間”にも音を追加して“実際に演奏する”のが一番具体的で効果的です。
注意すべきポイントは、ピッキングがオルタネイトではないことです。iとmがそれぞれ2回ずつ、“i-i-m-m”という順番です。
まずは、このex.1がなめらかにできるようになるまで、ひたすら取り組みましょう。最初はゆっくりのテンポで、丁寧に弾きます。それができるようになったら、ex.2をやります。
下段はイレギュラーな書き方をしていますが、普通に書くと一番最初の譜面と同じです。
つまり、上段は16分音符のルート弾き、下段は8分音符のルート弾きです。あえてこの変な書き方をしたのは、上段で弾いてた16分音符の2個目と4個目を、下段では弾かないけど忘れずに意識してほしいからです。なので、フレーズは簡単だけど、目を瞑ったりぼんやりどこかを見ながら練習するんじゃなくて、この譜面を見ながら、特に下段の“音と音の間”を意識して練習してください。
具体的には、上段の16分音符2個分の長さと、下段の8分音符の長さが同じになるように気をつけて弾きましょう。それと、上段と下段で指の動き方や瞬発力が変わってしまわないように気をつけましょう。
このex.2がちゃんとできるようになってきたとき、下段のほうのリズムはだいぶ安定してきているはずで、この下段を弾くときの動きが基本のオルタネイトの動きになります。
ということで、この基礎練を普段の練習のウォーミング・アップに取り入れて、安定した2フィンガーを身につけてください!
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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。
◎Information
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