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第31回:僕にも誰かを救うことができるでしょうか? Vol.2 <後篇>【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】
- Text : Hirofumi Takamatsu
生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史(The Novembers/Petit Brabancon)による連載『その箱の中は地獄より深い』。マニアも唸るディープな分析から、ビギナー向けの実践的な解説まで、エフェクターの奥深い世界を独自の視点で掘り下げます。今回も、Xで募集した「読者の皆さまからの質問」にお答えする回をお届けします。(編集部)
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第31回:僕にも誰かを救うことができるでしょうか? Vol.2 <後篇>
Q:いつも高松さんのコーナー、楽しみに読んでいます。さまざまなバンドのライヴも楽しませていただいています。The Novembers、Petit Brabancon以外に、Lillies and Remains、圭くん、松本明人さんのサポートもされていますが、“サポートだからこそベース(機材)にこだわった部分”や、“ここのベース・ライン、弾いててカッコいいよね!”といったエピソードを教えてください。
→ご質問ありがとうございます。
サポートでは第一にThe Novembersと同じクオリティの音を出せるように機材選びをしています。(Petit Brabanconはかなり特殊なので、The Novembersが基準です。)ベース本体は最近いろいろと試していますが。サポート現場ですと、そこまで機材量を持ち込めないので、制約があるなかでどれだけかっこいい音を出せるかを楽しんでおります。
ベース・ラインは……どれもかっこいいと思っています。そうでないと、依頼してくれた方にも、聴いてくださる方にも失礼だと思ってしまうので。
Q:ベースのストローク弾きは、1本の弦を弾くときよりも音量が下がり、音程感もわかりにくくなります。歌いながらの場合圧倒的に弾きやすいので使いたいのですが、音作りがうまくいかず、アドバイスいただけないでしょうか。また利点や使いどころや、The Novembersで実際にストローク弾きをしている曲があれば教えていただきたく。
→ご質問ありがとうございます。
おっしゃられている“ストローク弾き”が僕が思っているものと違うかもしれません。“複数弦を弾くコード弾きか?”と推測しておりますがいかがでしょうか。それとも全弦ピッキングするけれど鳴っているのは1音だけで、ほかの弦はミュートという状況か…。いずれにせよ、ピッキングの位置を今より少しリア寄りにしてみるとどうでしょうか? あとは音作りでミッドを少し上げてみるとか…。
和音を単音にするなど、アレンジが変わらないのであれば、一番良いのは“1本の弦を弾く”練習をすることかもしれません。歌いながら弾くのってすごく難しいですよね…。
Q:わたくしはアーティストモデルのコレクターなのですが、機材の保管やケアはどのようにしたら良いのか困っています。高松さんにぜひともご教示いただきたいです。
→ご質問ありがとうございます。
長期間弾かない場合はハードケースにシリカゲルや楽器用の湿度調整剤を入れて保管しています。ケースから出して保管する場合、しっかりとしたスタンドに立てて、人が生活する環境に置いておくと良さそうです。でも季節によって、あるいは天気によって温度や湿度など変化しますので、どうしてもネックは動きます。なので3ヵ月から4ヵ月に一度、季節の変わり目などに楽器店やリペアショップへ持って行くと良いと思います。
Q:会場によって機材のセッティングはどれくらい変えていますか? また、変えているとしたらどういった判断をどのように反映していますか?
→ご質問ありがとうございます。
先に似た質問があったので、重複する点もあるかとは思うのですが、改めて。
基本的には微調整程度でしょうか。おもに低音域の出方、響き方の調整がメインになります。低音域が出過ぎたりしてしまうとステージ上の音が濁り、ヴォーカリストが歌いにくくなったり、弊害が出てきてしまうので。
大切なのは、会場のスピーカーからどんな音が出ているのか、アンプでどんな音が出ているのか、その結果ステージ上でどんな音が鳴っているのか、でしょうか。これらを意識しつつ、バランスの良い音を探るのが理想ですね。
Q:当方エレキ・ギターです。バンド内のベーシストさんに喜んでいただける音を作るにはどこを気を付ければ良いでしょうか。
→ご質問ありがとうございます。
ベーシストに配慮してくれるギタリスト……とてもありがたいですね。素敵です。
さて、いただいた質問の回答ですが、まずはご自身の好きな音、かっこいい音を作ってみてください。少なくとも僕は、というお話になってしまいますが、“ギターがこう鳴っている、ドラムはこう鳴っている、だったらベースはこう鳴らそう”と考えるのが好きです。思い思いに鳴らしている音の隙間を見つけるというか…。なので、気にせず好きに楽しんでほしいですね。
ただこれだとお望みの回答にはならないかと思うので…。そうですね……あまりレンジを広く出しすぎず、低音域はベースに任せてみる、などでしょうか? 音作りだけでなく、楽曲のアレンジにもよるお話ではあるので、なかなかお答えするのは難しいのですが…。
一番良いのはベーシストとしっかりお話をすることだと思います。“ギターの音、どう思う? ベースはどういう音を出したい?”などなど。
Q:ピッキング・ノイズについてお伺いします。私はピックの擦れる音も良い音の要素のひとつと捉えていますが、高松さんはレコーディングやライヴでピッキング・ノイズをどのように扱っていますか?
→ご質問ありがとうございます。
これは完全に好みや考え方の違いなので、否定でもありませんし、どちらが正解というお話でもないのですが、僕は逆にピックのスクラッチノイズはないほうが良いと考えています。
ないほうが音程感やフレーズ、ビートが見えやすくなることが多いからです。このあたりはバンドの音楽や楽器の編成にもよると思いますが…。僕が好きなベーシストでもザリザリとピックを擦るようにピッキングする方もいらっしゃいますので、あくまで僕はこう考えています、という程度にお考えください。
Q:音作りについてご質問です。普段はギターをプレイしてきたのですが、最近はベースを弾いて音作りに挑戦しています。アクティヴのベース(Edwardsの5弦)を持っているのですが、アンプ側のEQ、エフェクターのEQ、ベース本体のツマミなどと、音色に関わる場所が多すぎて音作りが迷宮入りしてしまいます。今は好きなアーティストのコピーをしたくて、L’Arc-en-CielやThe Novembersの音を目指して手持ちの機材(Line6 / HX Stompなど)で奮闘しています。音作りの基礎の考え方や、EQの使い方についてなにかアドバイスいただけたら嬉しいです!
→ご質問ありがとうございます。
操作できるポイントが多いと迷ってしまいますよね。そういった場合、まずはひとつずつどんな効果やどんな挙動をするのかしっかり把握していく必要があります。僕でしたら、まずはベース本体のEQをチェックします。なぜなら、ベース本体だけで好みの音が出せるとしたら、使用するエフェクターの数も減らせたりするので。次にエフェクターでしょうか。大事なのは、一度に一箇所の変更に留めることでしょうか。
EQの使い方……音作りのポイントとして、ミッドレンジをどのように扱うかが重要だと考えています。僕の場合、音作りの手順としては、まずBASS、TREBLEはセンターで、ミッドの出方を決める。そのあとでTREBLEでハイの調整、最後にBASSでローの調整、といった順番が多いです。
感覚的なことなので文章にするのはなかなか難しいのですが、何かの参考になれば。
Q:バンドでもともとギター担当でしたが、最近ベースもやるようになりました。バンド・サウンドのなかで“ベースの音の居場所を探る”感覚が掴みきれていないのですが、高松さんの場合どのように考えているか教えていただけますでしょうか。何となくこのあたりの感覚がリード・ギターとは違う気がしています。よろしくお願いします。
→ご質問ありがとうございます。
感覚のお話、すごくざっくりとした表現なのですが、人体で例えると“ベースで筋肉の部分を担う”イメージでしょうか。ベースがない状態でのバンド・アンサンブルを聴いて、どこにベースがいると骨太に聴こえるか、みたいな。骨なのか筋肉なのかややこしいのですが……。
あるいは、ギターとドラムの隙間を埋めるようなイメージのほうがわかりやすいかもしれませんね。
なので、ローの場所どうする? ローミッドの場所どうする? という2点が重要だと思っています。
これはバンドや使用機材によって変わるので、本当に参考程度に聞いていただきたいのですが、僕の場合、具体的にはローは60から80Hzあたり、ローミッドは200から300Hzあたりを足し引きすると良い結果になることが多いです。
こればかりは環境によるし、一概には言えないのですが。
◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。The Novembers、Petit Brabanconのメンバーとして活動中。そのほか、Lillies and Remains、[ kei ]、健康、松本明人のサポート・ベーシストも務めている。
◎Information
高松浩史 X Instagram
