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『レッキングクルー』 名曲は突貫工事にも揺るがない! 解体工事のBGM【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第33回
- 文:長谷川カオナシ
- バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
毎回レトロゲームの音楽を取り上げ、その魅力をクリープハイプの長谷川カオナシが独自の視点で伝える連載『レトロゲーム喫音堂』。今回は、簡単でキャッチー! 弾いていて楽しい!『レッキングクルー』 (1985年/任天堂)BGMのベース・ラインを紐解きます。(編集部)
お世話になっております。
奇数月は喫音堂の月です!
私事ですが、筆者長谷川は11月26日に
初のソロ・アルバム、『お面の向こうは伽藍堂』をリリースいたします。
それに先立って、今月23日に先行シングル「金木犀」をリリースしました。
私の大好きな季節である“秋”。そんな秋を感じる素敵な曲なので
ぜひ聴いてみてくださいね。(配信リンクはこちら)
そんなわけで、現在私はなんだかすごく忙しいです。
でも連載は落としたくありません。
すぐ打ち込めそうで、かつ、ベースが利いてる曲ってなんだろう。
ああレッキングクルーだ。初代の。
前々回で『レッキングクルー’98』をやったばかりですが、今回はその源流のゲームやらせてください。
今回のレトロゲーム:
『レッキングクルー』(1985年/任天堂)(※1)

今年で発売40周年を迎えた歴史あるゲームです。
我らがマリオ&ルイージがビルの解体屋として活躍します。
ゲーム本編は黒を基調としたシックな一画面のみ。
この頃のファミコンのゲームってそうですよね。
Atari 2600とかからの流れなんでしょうか……。
BGMの数も最小限です。
「ステージBGM」「ボーナスステージ」
隠し要素の「ゴールデンハンマー」の3曲に、
「開始」「クリア」「ゲームオーバー」の3種のSEのみ。
よって、プレイ中の大半の時間は「ステージBGM」を聴くことになります。
今回喫音していくのはもちろんこの「ステージBGM」。
何故かって。
簡単でキャッチーだからです!
喫音堂の作業のなかに、
「ゲームの曲を耳コピして打ち込む」
「それを演奏する」という行程があります。
この曲、それがどっちもラク。
しかも弾いてて楽しい!
良いことだらけです。
良い曲だからですね。
スゴイ!
100ステージずっと同じ曲なのに飽きさせないって
スゴイことだと思います。
ベースはウォーキング・ベース調で進行していきます。
ミドルテンポのウォーキング・ベースは聴いていて気持ち良いですね!
コード進行も至ってシンプルです。
【A】のセクションは
C→Fの繰り返し。
【B】のセクションも
C→Fの繰り返し。ただここは、ベース・ラインの語尾が変わっています。
「ファッファソーラーシー」だったものが
「ファッファミーレーソー」に。
コードが変化しないなかで、語尾の歌いまわしだけで「ちょっとだけ空気が変わった感」出す手法、
オシャレです!
【C】のセクション。
C→Fの繰り返し。ですが、4小節目にこの曲初めての「キメ」が入ります。
メロディとパーカッションが「ツタッツタ」というリズムに。
その部分だけはコードもF、Gとなります。
しかもベースは「キメ」に参加しません。
全員で「キメ」をやってしまうと、やや重たくなり過ぎてしまうのです。
長く聴くことになるなるBGMだからこそ、
この絶妙なさじ加減が利いてきますね!
【D】のセクション。打って変わって、
E♭→A♭の繰り返しになります。所謂「転調(移調」というやつです。
メロディは【A】のセクションのものをなぞっているようです。
曲のループはここで終わり、【A】に戻ります。
このとき、【D】の転調で曇った空気が晴れるような感じがして
そこに気持ち良さがあります。
この気持ち良さも、長く聴かせるための秘訣かもしれません!
▼今回の演奏動画▼
先ほどちょっと「転調」について触れました。
ここで隙自語良いっすか。先にリリースした「金木犀」について。
金木犀のイントロはEm→A→D→Gというト長調の進行。Aメロに入ると
Dm→G→C→Fというヘ長調の進行に変わります。「転調」です。
Gの次のDmってなんか、「秋が来た感じ」しませんか?
もうひとつ。サビ前のコードはA、さらにサビで転調してハ短調の響きになります。
Aの次のA♭ってなんか「秋が来た感じ」しませんか??
お気に入りポイントです!
「あなた役立たずねってそうですね」のあとのインター、Bm→E→A→D→Dmはニ長調。
ここはアレンジャーのjoe daisque氏によるアイディアです。
これもBmになった瞬間、Dmになった瞬間の二度「秋が来た感じ」しますね!
是非、「金木犀」のなかの秋のポイントを探してみて下さい。
さて、いつも動画内では演奏のほかにゲームの実演(実況)を入れていました。
今回は試験的にYouTubeの生配信でやってみようと思います。
配信は、この記事公開の本日25日の21時から。よろしくお願いします!
それではまた再来月までご機嫌よう。
(※1)
^音楽は田中宏和先生。この連載でも第9回、第14回、第31回と幾度も取り上げてきています。
◎Profile
はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2024年12月4日に7枚目のアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。
◎Information
長谷川カオナシ
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クリープハイプ
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