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シンサカイノ × 前田竜希が描いた“ソロ・ベース”と“デュオ・ベース”の奥深き世界【“BASS MADNESS”イベントレポート】
- Text & Photo : Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
シンサカイノがホストを務めるベース・イベント初回をレポート!
シンサカイノが毎回異なるゲスト・ベーシストを迎えてライヴとトークでベースの魅力を深掘るイベント・シリーズ“BASS MADNESS”。その記念すべき第一回が開催され、ゲストには前田竜希が登場した。
イベントはまず、シンサカイノと前田がそれぞれ約30分のソロ・ベース・セットを披露する形でスタート。シンサカイノはアンビエントな導入から始まり、ペダル・ボード上の多彩なエフェクターを駆使しながら、幻想的なバッキング、ヘヴィなリフ、ファンキーなグルーヴまで幅広いサウンドを展開。豊かな表現力で、ベース1本とは思えない音世界を描き出した。その演奏はエフェクティブな音色だけでなく、身体性からくる魅力にも満ちており、正確なタイム感とタッチの安定感が際立つ、確かな“土台”の強さが印象的だった。

続いて登場したのは、シンサカイノの紹介で呼び込まれた前田竜希。バンド活動やセッション・ベーシストとしての活動に加え、ソロ・ベースでのパフォーマンスにも定評があり、2019年には台湾ツアーも成功させている。“キッチン前田”として、インド亜大陸料理に特化した創作フードの出店やケータリング活動を10年以上行なっており、シンサカイノとの交流もカレーを通してだという。
この日は、見事なアルペジオを聴かせたビートルズ「Blackbird」や、美しいハーモニクスで彩ったジャコ・パストリアス「Portrait of Tracy」といったベース名曲のカバーに加え、自身のオリジナル曲も多数披露。なかでも、ヴォイス・パーカッションを活用したループ演奏や、インド風の音階を取り入れた“カレー的”ともいえるアプローチによって独自の世界観を描き出した場面は印象的だった。パーカッシヴで表情豊かなスラップ奏法も交え、約30分間にわたる濃密なソロ・セットで観客を魅了した。
マニアックなベース談義とジャコ愛で締めくくった第2部
第2部では、トーク&セッションが展開。互いに質問を投げ合いながら、セッティングの違いなどマニアックなベース・トークも交えつつ、ベース・デュオならではの濃密な掛け合いを披露した。ふたりが互いのベースを交換し、その違いを体感しながら解説する場面も印象的だ。シンサカイノは弦高を極限まで下げたセッティングにナイロン弦(ダダリオ製)を使用。一方、前田は試行錯誤の末にスタンダードなラウンド・ワウンド弦を選び、弦高も高めという対照的なスタイルだった。

観客からも質問が寄せられた。“ソロ・ベースのライヴ準備は?”という問いに、シンサカイノは“今回が初めてのソロセットだったので、30分のなかでひとつのストーリーをどう描くか、各パートの構成をかなり考えた”と回答。前田は“カレーとベースの共通点は?”という質問に“ベーシストにはプロデューサー気質の人が多い。カレーも複数の素材をバランスよくまとめる点で、全体を支えるベーシストと似ている”と語り、会場を和ませた。
最後は、ふたりが影響を受けたジャコ・パストリアスの名曲「The Chicken」をセッション。シンサカイノは“高校卒業してはじめて聴いたジャズ・ベージストがジャコ。でも当時は「The Chicken」以外はカッコいいと思わなかった。”と語り、前田は“高校の文化祭で「Portrait of Tracy」をカバーした”と振り返るなど、“ジャコ愛”が溢れるクロージングとなった。

第2回は山本連を迎え、9月6日(土)に開催!
“BASS MADNESS”は今後も不定期で開催予定だが、次回の“Vol.2”についてはすでにアナウンスされている。次回は9月6日(土)、ゲストに山本連を迎えて開催予定。会場は今回と同じくThe A.I.R Buildingで、当日券のみの販売となる。詳細はこちらから確認いただきたい。

◎「Bass Madness Vol.2」イベント情報
イベント名:Bass Madness vol.2
日時:9月6日(土)
会場:会場: The A.I.R Building
東京都中央区日本橋本町3丁目2−8 THE A.I.R BUILDING B1F
チケット:2,500円/2,000円(学割)
(1ドリンク別)
※販売形式:当日券のみ(事前予約はございません)
※現金のみのお支払いとなります
