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『高橋名人の冒険島』:ヘンなベースが弾きたい気分【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第32回

  • 文:長谷川カオナシ
  • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)

毎回レトロゲームの音楽を取り上げ、その魅力をクリープハイプの長谷川カオナシが独自の視点で伝える連載『レトロゲーム喫音堂』。今回は、『高橋名人の冒険島』(1986年/ハドソン)のBGMを題材に、“難しくておもしろい不思議なベース・ラインを弾いてみましょう。

お世話になっております。奇数月は喫音堂の月です! 

すっかり暑くなりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。

我々クリープハイプは先日24日の武道館公演をもって、5月から行なっていたアリーナツアーを無事に終えました。

今年の2月から行なっていたホールツアーとあわせると、とても長い間ツアーをしていたようにも思うし、終わってみたらあっという間に感じます。

私もさまざまな会場でベースを弾きました。なんだか今は、ヘンなベースが弾きたい気分です。

今日はコレにしましょう!

今回のレトロゲーム:
『高橋名人の冒険島』(1986年/ハドソン)※1

松下進先生のイラスト味わい深いなあ

主人公はプロゲーマーであり「16連射」でお馴染みの高橋名人。

実在の人物が主人公のアクションゲーム、というのはなんとなく時代を感じますね。

今回演奏してみるのは「洞窟ラウンド」「山ラウンド」のBGM。

楽し気な曲の多い本作のなかでも、“妖しさ”が強い曲をチョイスしました。

◎「洞窟ラウンド」

「洞窟ラウンド」は、なんとか耳コピは出来たのですが、結局のところ曲のキー(調)が何に当たるのかがわかりません。

響き的にCm(ハ短調)なのかな、と思うけどいかがでしょうか。

私なんぞは逆立ちしたって書けなさそうな曲です。

休符の位置も独特です。メロディ・ラインと入れ違いになったり、ハモったり。

同じ音も箇所によって♯がついていたりいなかったりするので記憶するのも難しい曲でした。

◎「山ラウンド」

続いて「山ラウンド」

こちらは洞窟ほどの奇怪さはありませんね。Em(ホ短調)なのだと思います。

それでもやはりヘンな箇所に休符があったり、長い休符のなかで急にベースだけのオカズが入っていたりと一筋縄ではいきません。

全体の音数が少ないぶん、ベースの担う役割が大きく、緊張感の漂う曲ですね。

もし“武道館でこの曲を弾きなさい”と言われたら私はまず遠慮したいところです。

【演奏時のポイント】

「洞窟ラウンド」に登場する休符はおもに4分休符。

大き目な休符なので、焦らずゆったりとリズムを感じましょう、「山ラウンド」16分の3連符のトリルが登場します。

まずはピッキングせず、ハンマリングとプリングだけで音が出せるように練習してみましょう。

さて今回は今までのなかでも特に不思議なベース・ラインを弾いてみました。個人的には、先日までのツアーや大舞台はひとつの節目のようにも感じましたが、奏者としての人生、まだまだ学ぶべきことだらけだなと思います。

こんなに難しくておもしろいベース・ラインもあるんだからなぁ。

それではまた再来月までご機嫌よう。

▼今回の演奏動画▼

(※1)
^作曲は竹間淳先生。ボンバーマンシリーズでお馴染みですね! ボンバーマンシリーズはノリの良い楽曲が多いですが、今回とりあげた2曲は
妖しさ、独特の雰囲気があります。先生の作曲の幅広さ、すごいです……!

◎Profile
はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2024年12月4日に7枚目のアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

◎Information
長谷川カオナシ
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