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『クルクルランド』なんだかんだでやぶれかぶれ【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】第30回
- 文:長谷川カオナシ
- バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
毎回レトロゲームの音楽を取り上げ、その魅力をクリープハイプの長谷川カオナシが独自の視点で伝える連載『レトロゲーム喫音堂』。今回は、任天堂の名作『クルクルランド』(1984年)から、印象的なBGMのベース・ラインを実際に弾いてみます。
お世話になっております。奇数月は喫音堂の月です!
年度末。新年度への準備にくるくると目を回してしまいそうな、お忙しい時期ではないでしょうか。
今日は目が回りそうになるゲームを取り上げてみます!
『クルクルランド』(1984年/任天堂)(※1)

古のアクションゲームです。
イメージイラストは躍動感に溢れていますが、実際のゲームは終始見下ろし視点で進行します。ステージはそれぞれ黒い1画面内で完結し、スクロールしたりアングルが変わることもありません。
そういったシンプルさでは、以前取り上げたドクターマリオ等のパズルゲームと似たような趣がありますね。
BGMの数も多くありません。タイトル画面、オープニング、メインテーマ、「ハリーアップ」のテーマ、クリアSE。
今回喫音するのは、ステージをプレイ中のBGM=メインテーマ。3連符中心で独特な譜割りのメロディが印象的です。
「なんだかんだ」で感じるリズム
ベース・ラインはどうでしょうか。
メロディと同じく3連符ですが、1音目と2音目は「タイ」でつながっています。
これを反復する(※2)ことによって、ベースがドラムのような役割も担っています。
……よくわからないという方は、そうだなぁ。
試しに「なんだかんだ」と繰り返し発音してみて下さい。(※3)
なんだかんだなんだかんだなんだかんだ……
どうでしょうか。なんとなく、ハズんだリズムを感じませんか?
「なんだ」の「ん」と「かんだ」の「ん」が、先ほど申し上げた「2音目のタイ」という部分に相当します。
「やぶれかぶれ」で感じるリズム
後半のベース・ラインは2音目もタイではなく、実音を鳴らします。
これにより、楽曲にスピード感が生まれます。
……よくわからないという方は、そうだなぁ。
試しに「やぶれかぶれ」と繰り返し発音してみて下さい。(※4)
やぶれかぶれやぶれかぶれやぶれかぶれ……
どうでしょうか。ちょっと口が忙しくなりませんか?
「ん」がない分、緊迫したノリになります。
この楽曲にはドラム・トラック(ノイズ・トラック)はありません。メロディとベースの2トラックのみで構成されています。
したがって、こういったベース・ラインの緩急が楽曲の印象に大きく影響していますね。
目の回りそうなほど忙しいベース・ラインですが、その分見事な大立ち回りです!
演奏時のポイント

前半の「なんだかんだ」の部分は、
「なん」1度
「だ」5度
「かん」3度
「だ」5度
といった繰り返しになっています。
キレイなノリを出すためにも、「なん」と「かん」はなるべく同じ強さ・同じ長さで弾きたいです。
最初は「なん」「かん」だけを弾いて練習し、慣れてきたら裏拍の「だ」を弾いてみましょう。
後半の「やぶれかぶれ」の部分。指が忙しく、難しいポイントです。
こちらもやはり「や」と「か」をしっかり発音することでキレイやリズムを表現できます。
最初はゆっくりのテンポで、「や!ぶ、れ、か!ぶ、れ」と発音するつもりで練習していきましょう。
▼今回の演奏動画▼
今回は演奏が難しかったです。
高音から低音への移動が多く、弦を抑える指が忙しく感じました。
恐らく、弦ではなく鍵盤を使って考えられたベース・ラインなのでしょう。
自分がエレキ・ベースを使ってベース・ラインを考えるとしたら、まず“こう弾こう”とは思わないアプローチでした。
だからこそ、たまにはこんな挑戦をしてみるのも良いのかもしれません。
それではまた再来月までご機嫌よう。
(※1)
^音楽は中塚章人先生。任天堂の古参作曲家先生です。喫音堂第9回で取り上げた「アイスクライマー」でも音楽を担当されています。どちらのBGMにも「C」から始まるウォーキングベースがありました。今回も2和音とシンプルなトラックでしたが、アイスクライマーのステージBGMなんか単音で構成されてます。すごい!
(※2)
^ややこしくなるので割愛しましたが、「反復する」といっても、2小節目でいきなり例外的なフレーズが登場します。そして何故かその後しばらくは大人しく反復フレーズが続きます。この奇天烈さも好きです。
(※3)
^「キンキキッズ」とか「パンナコッタ」とかも考えたのですが、2,4音目はどうしても「ん」が良かったのと、3,6音目は同じ文字が良かったので「なんだかんだ」にしました。
(※4)
^「いくよくるよ」とか「のいるこいる」とかも考えたのですが、6文字すべて子音の方がリズムを感じやすいと思ったので「やぶれかぶれ」にしました。
◎Profile
はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2024年12月4日に7枚目のアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。
◎Information
長谷川カオナシ
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クリープハイプ
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