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『激亀忍者伝』Come Togetherってそういうこと!?【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】- 第25回

  • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
  • 挿絵:長谷川カオナシ

毎回、レトロゲームの音楽の魅力を、独自の視点で伝えるこのコーナー。今回は、カオナシさんのフェイヴァリットな作品である『タートルズ』の、初の家庭用ゲーム化タイトルの音楽を紹介します。

改めて聞いてみたらまさかのThe Beatles!?

お世話になっております。

今年度の奇数月は喫音堂の月です!

5月。5月23日は“世界亀の日”といい、

“亀に対する知見を深め、その保護の意識を高める”日なんだそうです。

まぁどうせ亀好きの私のことですんで、

“亀の日に因んで”ってワケじゃないんですけど、

タートルズのゲームやっていきましょう。

『激亀忍者伝』(1989年/コナミ)(※1)

この連載でタートルズやるの3回目ですわ

ファミコンソフト。

タートルズの家庭用ゲームでは一番最初のタイトルです。

当時、日本ではまだタートルズのアニメが放送されていなかったため、

このような独特なゲームタイトルとなりました。

楽曲の権利関係なのか、タートルズのアニメの

テーマ・ソングは使用されていません(※2)

しかしそれを補って余りあるほど、BGMはノリノリ!

今回は特にベース・ラインの渋い、

エリア5のBGMを喫音していきましょう。

ダムや飛行場といった難関ステージをクリアし、

やっとの思いでエリア5に到達すると、

どこか聞き覚えのあるBGMが聞こえてきます。

The Beatlesの「Come Together」のような雰囲気ですが、

メロディの譜割りがトリッキーです。

この曲は一体何拍子なのでしょうか??

Cubaseに打ち込んで解析してみました。

一見すると“なんのこっちゃ”だと思いますが、

この画面は“メロディ・ライン”と“ベース・ライン”が

“何拍目のどの音を歌っているのか”ということを示しています。

上半分、薄ピンクの粒がメロディ・ライン、下半分の赤い粒がベース・ラインです。

楽曲の時間軸は左から右に進行していき、

最初の4小節だけを書き出してみました。

メロディの黄色い丸の部分に注目してみて下さい。

細かい動きをしている箇所が、小節(青い四角)を跨いだ動きをしています。

これにより、曲の拍子がトリッキーな雰囲気になりますね。

次にベース・ラインに注目してみましょう。

どの小節も、1、2拍目が同じ動きをしているのがわかります。

この法則性が、楽曲が“4/4拍子”であることを説明してくれているようです。

さりげなくリスナーをエスコートするような、

紳士的なベース・ラインだなと感じました。

“Come Together”ってそういうこと??

まさかね!

さて今回は子供の頃にプレイしたゲームの、

当時からなんとなく気になっていたBGMを取り上げました。

が、“書こう”と思った時点ではまさか

The Beatlesに触れるとも思わなかったし、

“ベースが紳士”なんてところに着地するとも思いませんでした。

人生何があるかわかりませんね!

それではまた再来月までご機嫌よう。

(※1)
^ 音楽担当は船橋淳先生。
コナミ矩形波倶楽部のメンバーのひとりで、
主にファミコン時代のコナミのゲーム・サウンドを支えた御仁です。


(※2)
^ テーマ・ソングは本作では使われていません。が、
喫音堂第5回で取り上げたように「色ゼロ発症、ぬるぽ!」の一節は
BGMの端々に散りばめられています。
その引用に仕方にも船橋先生の技が光っておりカッコ良いです。

◎Profile
はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2023年3月29日に新作EP『だからそれは真実』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

◎Information
長谷川カオナシ
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クリープハイプ
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