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2025年11月、ベース界の巨匠=ネイザン・イーストが来日。そのタイミングにて本人をキャッチし、自身の“理想の音”を形にしたというLaney製のシグネイチャー・アンプDB-EASTへのこだわりと、開発秘話を聞いた。ネイザンが今見つめるベース・サウンドとは。
ネイザン・イーストが“理想の音”を形にした “Laney DB-EAST” とは?

DB-EASTは、1967年にイギリスで創立された老舗アンプ・メーカーの最上位機種DIGBETHアンプ・ヘッドをもとに、ネイザンのノウハウを盛り込んだシグネイチャー・モデル。スイッチで切り替え可能な2系統の入力と、それぞれに対応した2組のダイレクト出力を持っているのが最大の特徴だ。
アップライトとエレクトリック、4弦と多弦のエレクトリックなど、2種類の楽器を持ち替える際には、フロント・パネルのスイッチでPAに送る2系統の出力を切り替えることができるほか、プリアンプ部はFETを使用したソリッドステート式とチューブ式の2種類が用意され、両者を好みのバランスにミックス可能。

イコライザーは3バンドだが、ミッド・コントロールは周波数と帯域幅が異なる4種類のポイントを選択できるようになっている。また、ティルト・コントロールは、周波数帯域全体をハイ上がり/ロー下がりから、ハイ下がり/ロー上がりにかけて連続的に変化させるもので、サウンド全体の傾向を微調整することもできる。
さらに、LA・IRという独自のインパルス・レスポンスによるモデリングも内蔵しており、コンピューターから2系統の入力それぞれに対して異なるIRを設定できるばかりでなく、8バンドのパラメトリック・イコライザーで細かく特性を調節することも可能となる。
キャビネットはレイニーの既存のモデルで、ネイザンは10インチ4発のものと12インチ2発のものを愛用している。
製品詳細・購入ページ
Laney / DB-EAST
INTERVIEW:僕にとってDB-EASTは、本物の“音楽的”なアンプなんだ

——レイニーのアンプを使うようになったきっかけから教えてもらえますか?
東京に住んでいるジェイソン・マクナマラという人とロンドンで会ったとき、彼がレイニー一家を紹介してくれたんだ。2、3年前だったかな。それで、シグネイチャー・アンプを開発するということで話がまとまって、DB-EASTというモデルが完成したというわけ。2025年には一般発売もされてとても嬉しいよ。
——開発にあたって、メーカーと緊密なやり取りというのはあったんですか?
仕様については、開発担当の人たちとZOOMで何度も打ち合わせをしたね。
——このアンプ・ヘッドのユニークな点のひとつは、2系統の入力を切り替えて使えることに加え、それに対応してDI出力も2系統用意されているところだと思います。
そう、それにパワー・アンプも500W出力のものを2台搭載しているし、トーン・コントロールはアナログ回路のものとは別に、LA・IRアプリ経由で調節できるデジタル・イコライザーも2系統用意されているんだ。
——IRはアンプのシミュレーションだけではないんですね。
そうなんだ。しかもイコライザーはプリとポストを選択できるしね。
——それは便利ですね。トーン・コントロールのミッド・モードで中音域をカットする機能といえば、ヤマハのNE-1というプリアンプや、あなたのシグネイチャー・ベースに内蔵されているミッド・コントロールを思い出しますが、MIDモードはこの流れを汲むものと言えるのでしょうか?
ああ、そういうことになるね。
——DB-EASTのミッド・モードは、4種類の特性がプリセットされていますが、これらの特性についてもあなたのノウハウが生かされているわけですか?
そうなんだけど、DB-EASTはトーン・コントロールをすべてフラットにした状態でも、すでに良いサウンドなんだ。嬉しいことにね。
——ベースやトレブルの特性も、あなたの好みに合わせて設定されているのですか?
DB-EASTの前身にあたるDIGBETHにも、同じ方式のトーン・コントロールが搭載されているんだけど、DB-EASTではそれを少し拡張しているんだ。だから、本当の意味でのシグネイチャー・ヘッドと言えるね。
——それにしても、ベーシストがアップライトとエレクトリック、4弦/5弦/6弦、フレッテッドとフレットレスとか、性格の違う楽器を持ち替えるのが当たり前の時代に、DIまで2系統用意されたアンプがなかったというのは、むしろ意外な気もしますね。
そうだよね。僕もずっと、なぜアンプに入力がひとつしかないのか不思議に思っていたよ(笑)。そのために外付けのA-Bボックスを使ったり、楽器のケーブルを差し替えたりしなきゃならなかったからね。あるいは、アップライトだけDIで直接PAに送って、音は転がしのスピーカーでモニターすることもあったけど、それだとアンプで鳴らすのとは勝手が違う。
だから僕にとってこのDB-EASTの最も重要なポイントは、入力と出力が2系統あるということなんだ。僕がこれまでに使ってきたアンプのメーカーだけじゃなく、レイニーにとっても大きな変化だと思うよ。
——あなたの音楽ライフが楽になったと。
ああ、ずっと楽になったね(笑)。
——あと、入力部分ではソリッドステートのFETプリアンプとチューブ・プリアンプをミックスできるようになっていますが、あなたも実際にこの機能を活用していますか?
アップライト用にはより高音域の抜けが良いFETのほうを使っていて、エレクトリックにはわずかに歪み感が出せるチューブのほうを使っているよ。
——ティルト・コントロールのツマミも実装されていますが、これも利用していますか?
基本はフラットの位置だけど、エレクトリックでもアップライトでも、もうちょっと厚みのあるサウンドにしたいとか、もうちょっと高音の抜けが欲しいとかいったときには、ティルトで調整しているんだ。全体のサウンドをツマミ1個でコントロールできるから、とても重宝しているよ。
——キャビネットのほうは、今回のブルーノート東京公演のステージでは何を使っていますか?
今回は10インチ4本入りのものを使っているけど、12インチ2本入りのものもよく使うね。
——キャビネットも含めた全体のキャラクターとしてレイニーを気に入っていますか?
もちろんだよ。創業者のリンドン・レイニーはもともとベース・プレイヤーで、ベースの特性というものをよく理解している。だから、僕にとってDB-EASTは、本物の“音楽的”なアンプなんだ。
製品詳細・購入ページ
Laney / DB-EAST
◎Profile
ネイザン・イースト●1955年フィラデルフィア出身。最初はチェロを弾いていたが、やがてベースに持ち替え、16歳でバリー・ホワイトのツアーに参加したのをきっかけにプロ活動を開始。ホイットニー・ヒューストンからエリック・クラプトン、フィル・コリンズなどの大物アーティストの伴奏を務めるいっぽう、ボブ・ジェームズらと結成したフォープレイでアルバム14枚を発表。2014年以降はジェームズとの共同名義のものを含む3枚のソロ作も発表している。
◎Information
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LANEY DB-EASTに関するお問い合わせは、サウンドハウス(☎ 0476-89-1111)まで。
◎2026年2月号発売中!
現在発売中のベース・マガジン2026年2月号にもネイザン・イーストのインタビューを掲載中! ピアニストである息子ノア・イーストとの初の共作アルバム『FATHER SON』にもフォーカスし、親子という親密な関係だからこそ到達できた音楽の深淵や、制作過程のエピソードを深掘りしています。

定価:2,530円(税込)
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