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話題のPLAYTECH製プリアンプ“Navy Stomp”。その実力は? 峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)が試奏!

  • Interview & Text:Makoto Kawabe
  • Photo:Hiroki Obara

本格的な機能性と確かなクオリティを“圧倒的なコスト・パフォーマンス”で提供するPLAYTECH(サウンドハウスのプライベート・ブランド)から、待望のベース用プリアンプDI “Navy Stomp”が登場した。

税込13,800円という手頃なプライスながら、コンプレッサーとしても使えるほか、ミッド可変の3バンドEQで理想のサウンドメイクを追求可能。さらにDIアウト、ヘッドフォン端子、ライン入力、アッテネーターも備え、幅広いシチュエーションに対応する万能モデルだ。

本記事ではNavy Stompの機能・サウンドを詳しく解説するとともに、3ピース・ロックバンド“おいしくるメロンパン”のベーシスト・峯岸翔雪による試奏インプレッションをお届けする。(編集部)

PlayTech / Navy Stompの機能と特徴は?

「ライヴだけでなく宅録や日常の練習用など、
あらゆるシチュエーションで活用できる」

製品解説:河辺真

PlayTech / Navy Stomp 製品写真

筐体は剛性感の高い金属製で鮮やかなカラーリングとキャッチ―なデザインが施されている。

上段のノブはEQ系の機能がまとめられ、ミドルのみ周波数可変の3バンド・セミ・パラメトリックEQにはバイパス音をミックスできるBLEND機能を装備。

FREQの可変幅は150~8kHzで、TREBLEとBASSのカットオフ周波数(もしくは中心周波数)やMIDDLEの帯域幅(Q値)、ブースト/カット・レベルは公表されていないが、筆者が試奏した限りではMIDDLEの帯域幅は比較的ナローで、各バンドとも標準的な周波数設定、かつ変化を感じるのに充分なブースト/カット量を確保している印象だ。

PlayTech / Navy Stomp コントロール部分

下段のノブは入出力のレベル調整とコンプレッサー系の機能。基本的に本機単体では歪まず、過大レベルで明確なクリップ歪みが発生する程度。COMP.はコンプレッション比(いわゆるレシオ)の調整、THRESHOLDはコンプレッションがかかり始めるレベル(スレッショルド・レベル)を設定する機能だが、GAINを上げるほどコンプレッションが深くかかるので、コンプレッサー使用時にはGAINの設定にも気を配る必要があるだろう。VOLUMEはLINE INを含む総合出力のレベル調整だ。

PlayTech / Navy Stomp 製品写真

ふたつのフット・スイッチは右側(ON/OFF表記)がEQ機能、左側(COMP.表記)がコンプレッサー機能のオン/オフとなっており、両方がオフでもGAINとVOLUMEが機能するバッファード・バイパス仕様となっている(THRU出力はINPUTの完全なパラレル出力なので電源オフでも出力する)。

パネル中央付近のINPUTと表記されたスライド・スイッチは出力の大きなベースやエフェクターを使用する際に過大レベルを防止するための入力アッテネータ(-10dB)で、D.I.と表記されたスライド・スイッチはXLRアウトにノイズが混入した際などに効力を発揮するグランド・リフト機能だ。

入出力端子はプリアンプDIとして標準的ともいえるグランド・リフト機能付きのXLRアウト(D.I.OUT)やインプット・スルー・アウト(THRU)だけでなく、外部ステレオ入力(LINE IN)やモノラル出力のヘッドフォン端子(PHONE)も搭載。電源は9Vアダプター(別売)による外部給電のほか006P乾電池による電池駆動も可能。ライブだけでなく宅録や日常の練習用など、あらゆるシチュエーションで活用できるアイテムだ。

PlayTech / Navy Stomp 側面写真(左側)
PlayTech / Navy Stomp 側面写真(右側)

峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)が試奏!
Navy Stompの実力やいかに……?

峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)が
Navy Stompを試奏

試奏の前に】
峯岸さんが普段使用している機材は?

楽器は2年ほど前に入手したフェンダーのAmerican Vintage II 1966 Jazz Bassがメインです。エフェクターはたくさん使うほうですが、今は空間系などをLine6 HX Stompでまかなって、好みの歪み系、たとえばBOSSのDB-3やEBSのBilly Sheehan Signature Drive ULTIMATEなんかは個別に並べてます。

最近入手したTech21のSANSAMP BASS DRIVER DI V2は常にオンで使っているんですけど、竿を変えたタイミングで以前使っていたプリアンプが合わないと感じて、これに変えたらバンドサウンドにもハマりが良くなりました。ちゃんと“歪み”を感じる程度に歪ませた音色が自分のベーシックですね。

ワウやフェイザーは個別のコンパクト・エフェクターを使っていますが、コンプレッサーはスラップやタッピング、ハイポジションでロング・トーンを弾くときなどの“エフェクト”としてHX Stompに入ってるモデルを使っています。

アンプはGALLIEN-KRUEGERのLegacy 500を使っていますが、ライヴではエフェクター・ボードからDI(Rupert Neve Designs製RNDI)を経由したラインの音が土台で、アンプから出ている音は自分が弾いていて楽しいと感じる音にさせてもらうという作り方ですね。

Q:Navy Stompの第一印象について教えてください。

“プリアンプ”っていうよりも“EQ”っていう印象が強いですね。歪ませて使うものでもないようですし。癖があると言えばあるけど、固有の音色カラーはないような気がして、そういう意味では原音を損なわないナチュラル系と言えるかもしれないです。

かなりコスト・パフォーマンスの高い製品なのに全然チープな感じがしないし、EQの各帯域をブーストしてもノイズが増えないのも良いですね。あとデザインがとても素敵だと思います。ノブの配置もわかりやすくて機能が充実しているのも魅力ですね。

峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)が
Navy Stompを試奏

Q:EQセクションの感想を聞かせてください。

TREBLEもBASSも“まろやか”な印象です。(ブースト/カットすると程よくまとまる)おいしいところを狙ってる感じがします。MIDのFREQは帯域の変化は感じるけど、音色をガラっと変化させるような利き方ではなくて、全開までブーストしても暴れないですし、やっぱり原音を損なわないナチュラルさがあります。

自分はサンズアンプを3バンドとも1時方向のブースト気味にして使っているんですけど、自分がNavy Stompを使うならMIDはFREQを10時方向にして、やや低めの中低音域をブーストさせたくなりますね。

BLENDの使い方は難しいところですけど、例えばEQを全部フルテンにして歪ませて、その歪み具合を調整するとか、少し極端なEQのセッティングにしつつその効果を最後に微調整するとかですかね。逆に原音を基本にしたい人ならNavy StompでEQした音色を少しだけ加えて微調整するっていう使い方もアリかもです。

あとは少し枯れた音というか、あえてローファイな音色を使いたいシチュエーションが自分のバンドでもあるんですけど、そういうときなんかにも使えるかもしれないですね。

峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)が
Navy Stompを試奏

「音色を太くしたいときにNavy Stomp単体で使うのも良いと思うし、気に入っている歪み系エフェクターとかのあとにつないで音色の補正用に活用するのも良さそう」

Q:コンプレッサー・セクションについてはいかがでしょう?

僕があまりコンプレッサーについて精通してないのもあるかもしれないですけど、初心者の方には(設定項目が複数あるので)少し難しいかもしれないですね。GAINは上げても歪まなくて、フルテンで少し音色に厚みが出る程度ですけど、COMP.をオンにした時にはGAINが高いほどかかりが深くなるので、まずはTHRESHOLDを上げて(コンプレッションがかからない状態から)絞る方向でかかり具合を調整すると使いやすいと思います。

Navy Stompは基本的には音色効果の方向性はワンカラーで、深くかけても効き具合が破綻せずに実用範囲に収まる“優しさ”があるので、そういう意味ではわかりやすくて気が利いているので、常時オンで使いやすいコンプレッサーかなと思います。

Q:入出力端子も充実していますが、印象は?

入出力端子は充実してますよね。ヘッドフォンで聴ける機能(PHONES端子)は自宅で練習するときとかに良いですね。PCを立ち上げるのは面倒だけどミニ・アンプだけでは音色的に物足りないっていうときに、これがあればEQでしっかり作り込んだ音色で手軽に練習できますから。

電池を使えるのも便利かもしれない。スルー・アウト(THRU端子)はチューナーをつないでピッチを確認しながら練習したいときとか、ほかのエフェクターに分岐させて音色を作り込みたいときとかに使えるかな。

峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)が
Navy Stompを試奏

Q:試奏をしてみて、オススメの活用方法を提案するなら?

単純に音色を太くしたいときにNavy Stomp単体で使うのも良いと思うし、気に入っている歪み系エフェクターとかのあとにつないで音色の補正用に活用するのも良さそうですね。

入力アッテネータ(INPUTスイッチ)があるので出力の大きなアクティヴ・ベースとかエフェクターでもつなぎやすいし、エフェクター群の最終段に置いて仕上げ用に使うのも良いと思います。パッシヴ・ベースをアクティヴ化するバッファー的な役割とかにも。

そういった高級機に任せたくなるような役割をこの価格帯で入手できるのはかなりの魅力ですね。ビギナーのエフェクター初手としても良いと思います。じっくりと取り組んで“これだ!”っていう音色を見つける作業をしてエフェクターの面白さを見つけてもらえたら良いですね。もちろん宅録とか自宅練習にも使いやすいと思いますよ。

峯岸翔雪(おいしくるメロンパン)の
Navy Stompお気に入りセッティング
峯岸お気に入りのセッティング

製品詳細・購入ページ

PLAYTECH / Navy Stomp

◎Profile
峯岸翔雪(みねぎし・しょうせつ)●2015年9月、大学の同級生であるナカシマ(vo,g)と、高校の同級生だった原駿太郎(d)を誘い、3人で“おいしくるメロンパン”を結成。2025年4月、9th mini album『antique』をリリース。同年5月からは “おいしくるメロンパン antique tour ‒ 貝殻の上を歩いて ‒ ”を開催。ツアーファイナルは、日比谷野外大音楽堂にて初めての野外単独公演を行ないソールドアウト。この日のステージにて、トイズファクトリーよりメジャーデビューすることを発表した。10月1日にメジャーデビュー作となる10th mini album『bouquet』をリリースした。

◎Information

おいしくるメロンパン
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峯岸翔雪
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