• ベース・マガジンWEBは、2024年10月23日13:00-17:00の間、メンテナンスのためご利用できなくなります。ご不便をおかけしますが何卒ご了承ください。
  • GEAR

    UP

    【連載:ダークグラスな事情】Vol.3 休日課長(ゲスの極み乙女)

    • Photo(Gear):Takashi Yashima

    モダンなサウンドと豊富な機能を持ち合わせた製品群で、現代のベース・ギア・シーンの中核を担うダークグラスエレクトロニクス。『ダークグラスな事情』は、プロ・ベーシストが愛用するダークグラス製品の魅力を自らの言葉で語る連載企画だ。第3回目となる今回は、ゲスの極み乙女をはじめとした多数のプロジェクトで活躍する敏腕ベーシスト、休日課長が登場。ゲスの極み乙女のボードに鎮座する、用途ごとに緻密に使い分けされる3種類のペダルを紹介してくれた。

    ゲスの極み乙女での使用モデル
    ・Microtubes B3K(オーバードライブ)
    ・Duality Fuzz(ファズ)
    ・Microtubes B7K(プリアンプ/オーバードライブ)

    “これは使えそうだな”と直感で思いました。

    休日課長が最初に入手したダークグラス製品であるMicrotubes B3K。
    ゲスの極み乙女におけるメインの歪みとして使用される。
    BLENDを振り切っている点が特徴で、ミニ・スイッチはそれぞれ、ATTACK:BOOST、GRUNTは写真では“RAW”となっているが、通常は“FAT”を選択している。

     ダークグラスはたまたまネットで見つけて、シンプルに見た目がカッコいいなと思ったのが最初の出会い。実際に音を出してみたらけっこうモダンなサウンドというか、それまで僕が好んでいたような温かい音とは違ったクールな質感で、“これは使えそうだな”と直感で思いました。いつから使っているかは忘れちゃいましたけど、2014年頃にはもうダークグラスを使っていたと思います。

     最初に使ったモデルは今のボードにも入っているMicrotubes B3K(オーバードライブ)で、ベース本来の太さを損なわずにギラっとした抜ける歪みが作れるところが気に入っています。ゲスの極み乙女の「イメージセンリャク」ではレコーディングでもライヴでも曲中ずっとB3Kをかけてますね。「星降る夜に花束を」や「キラーボール」の歪んでいる部分はレコーディングでは違う歪みですが、ライヴではB3Kを使っています。ガッツリ歪ませたいときにキツめにかけています。セッティングに関しては、飛び道具的に使っていることもあり、あまりドライの音はいらないかなと思って、ブレンドはフルテンにしています。ミニ・スイッチについては最初にいろいろと実験した記憶があるのですが、個人的に一番太い音が出るような設定にしましたね。

    ミチッ”とした印象のめちゃくちゃ使いやすいファズですね。

    飛び道具的な用途で使用されるDuality Fuzz。
    ミックスのツマミ(デュアリティ)をブースト気味に設定することで、ハイゲイン寄りにサウンドメイクしている。
    一曲通してかけっぱなしで使用することもあるとのことだ。

     “歪み”だとDuality Fuzz(ファズ)も使っています。ファズってアンサンブルのなかだと音像がボヤけちゃうことが多いんですけど、このファズは音程感がちゃんと見えるし、わかりやすく歪ませることができる。“ミチッ”とした印象のめちゃくちゃ使いやすいファズですね。オールドライクな感じも出せるようなエフェクターだと思うんですけど、どちらかというと最近の感じというか、武骨よりは鋭さを持ったサウンド・キャラクターにするよう試行錯誤して今の設定に辿り着きました。あとは音程感がちゃんと見えるくらいのポイントも探ったセッティングです。裏面のパネルを開けるといじれるフィルターとブレンドのミニ・スイッチに関しても、最近のモダンなサウンドに寄せた設定にしています。

     Duality Fuzzはとにかく使いやすく抜けやすいファズとして研究されていると思います。ゲスの極み乙女「Ink」ではずっとかけっぱなしなんですけど、それでも成立するくらい音程感がちゃんと出てくれる。リフを弾いてもちゃんと音程が取れるのですごく優秀だと思います。

    ローを埋める使い方のほうがB7Kの良さが生きる。

    主にプリアンプの用途として、かけっぱなしで使用されることもあるMicrotubes B7K。
    低音域をブーストしている点が特徴で、ドライブは抑え目に設定されている。
    ミニ・スイッチはそれぞれ、ATTACK:BOOST、GRUNT:FATを選択している。

     ゲスの極み乙女では、定番のMicrotubes B7K(プリアンプ/オーバードライブ)も使っていて、“この曲はずっとB7Kのキャラクターでいきたいな”ってときはずっとかけっぱなしです。なので基本的にプリアンプとしての用途になりますね。EQはLOWとLO MIDSの帯域をブーストさせているんですけど、個人的な見解として、ローを埋める使い方のほうがB7Kの良さが生きると思っています。ドライブは抑えめに、強く弦をハジくと“歪んだな”くらいの塩梅にしていますね。ローの帯域をたっぷり突いていることもあって、歪ませすぎるとボワボワになってボヤけちゃうんですよね。ミニ・スイッチに関しては、プレゼンス感を強調してクリアなサウンドになるよう両スイッチをセッティングしています。”ロー感をたっぷり持たせつつも抜ける音”を目指した設定になりますね。

     ちなみに、礼賛とichikoroで使用しているボードでは、Microtubes B7K Ultra(プリアンプ/ディストーション)も入れています。当初は“B7Kでいいかな”と思ったんですけど、同じものを買うってやっぱりテンションが上がらないじゃないですか。だから“Ultraにしよう!”と(笑)。でもかなり細かく調整ができるので、レコーディングでもダークグラス・サウンドが欲しいときはUltraを使うことが多いです。ゲスの極み乙女の「晩春」のレコーディングでも使っています。見てもらったらわかるとおり、かなり極端な設定にしているんですけど、単純にドンシャリの音が欲しかったんですよ。使うときは基本的にディストーション・チャンネルをオンにした状態で、曲によってはかけっぱなしで使うこともあります。ドライブをかなりブーストさせているのでけっこう強く歪んでいるんですけど、それでもフレーズがしっかり見えるのがダークグラスの良いところだと思います。というか、ダークグラスでしか出せないこの特徴的な音って、改めて不思議だなと思います。

    礼賛とichikoroにて使用されるMicrotubes B7K Ultra。
    LO MIDSをガッツリとカットし、ほかの帯域をブーストさせるという興味深いセッティングだ。
    ミニ・スイッチはそれぞれ、ATTACK:フラット、GRUNT:フラット、LO MIDS:500Hz、HI MIDS:3kHzを選択している。

     ダークグラスの良さは、まず歪ませてもアンサンブルで埋もれない点。あとはEQも的を射てるというか、ダークグラスは欲しい音に持っていきやすいんです。EQの回路の設計もすごくいいですよね。あと何と言っても、ダークグラスにしか出せない空気感とサウンド・キャラクターですよね。一回聴いたら忘れられないサウンドだと思います。モダンなサウンドに持っていきたいときはダークグラスがすごく合うし、全幅の信頼を置いて使っています。すでにたくさん種類が出ているけど、今後はフィルター系が出てきたらおもしろそうだなって思います。ダークグラス独特のサウンド・キャラクターがありつつ、飛び道具的なフィルターがあったら絶対試してみたいです。

    Specifications

    Microtubes B3K

    ●コントロール:ブレンド、レベル、ドライブ、アタック・スイッチ、グラント・スイッチ、バイパス・スイッチ
    ●入出力端子:インプット、アウトプット
    ●電源:DC9Vアダプター
    ●外形寸法:75(W)×45(D)×111(H)mm
    ●重量:250g

    【価格】オープンプライス(本記事での紹介モデルは廃盤/現行モデルはMICROTUBES B3K V2)

    お問い合わせ:キョーリツコーポレーション  Mail:support@kyoritsu-group.co.jp  メーカー・サイト

    Specifications

    Duality Fuzz

    ●コントロール:レベル、デュアリティ、ブレンド、フィルター、バイパス・スイッチ
    ●入出力端子:インプット、アウトプット
    ●電源:DC9Vアダプター
    ●外形寸法:50(W)×100(D)×45(H)mm
    ●重量:205g

    【価格】オープンプライス

    お問い合わせ:キョーリツコーポレーション  Mail:support@kyoritsu-group.co.jp  メーカー・サイト

    Specifications

    Microtubes B7K

    ●コントロール:ブレンド、レベル、ドライブ、ロー、ロー・ミッド、ハイ・ミッド、トレブル、アタック・スイッチ、グラント・スイッチ、グラウンド/リフト・スイッチ、バイパス・スイッチ
    ●入出力端子:インプット、アウトプット、パラレル・アウトプット、ダイレクト・アウトプット
    ●電源:DC9Vアダプター
    ●外形寸法:106(W)×45(D)×120(H)mm
    ●重量:350g

    【価格】オープンプライス(本記事での紹介モデルは廃盤/現行モデルはMicrotubes B7K V2)

    お問い合わせ:キョーリツコーポレーション  Mail:support@kyoritsu-group.co.jp  メーカー・サイト

    Specifications

    Microtubes B7K Ultra

    ●コントロール:マスター、ブレンド、レベル、ドライブ、ベース、ロー・ミッド、ハイ・ミッド、トレブル、アタック・スイッチ、グラント・スイッチ、ロー・ミッド・3ウェイ・スイッチ、ハイ・ミッド・3ウェイ・スイッチ、グラウンド/リフト・スイッチ、ディストーション・スイッチ、バイパス・スイッチ
    ●入出力端子:インプット、アウトプット、ダイレクト・アウトプット
    ●電源:DC9Vアダプター
    ●外形寸法:125(W)×57(D)×96(H)mm
    ●重量:430g

    【価格】オープンプライス(本記事での紹介モデルは廃盤/現行モデルはMicrotubes B7K Ultra V2 with Aux In)

    お問い合わせ:キョーリツコーポレーション  Mail:support@kyoritsu-group.co.jp  メーカー・サイト

    ◎Profile
    きゅうじつかちょう●1987年2月20日生まれ、埼玉県出身。大学時代にベースを始める。2012年5月に川谷絵音(vo,g)に誘われてゲスの極み乙女。を結成。2014年にメジャー・デビュー。プログレッシブ・ロックやヒップホップなどを取り入れた独自の音楽性がシーンで話題となり、幅広い世代から人気を博す。2024年5月22日には6thアルバム『ディスコの卵』をリリースしている。休日課長はそのほか、DADARAY、ichikoro、礼賛などにも参加し、多方面で活躍する。

    ◎Information
    ゲスの極み乙女 Official HP X Instagram YouTube
    休日課長 X Instagram