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第30回:僕にも誰かを救うことができるでしょうか? Vol.2 <前篇>【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】
- Text : Hirofumi Takamatsu
生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史(The Novembers/Petit Brabancon)による連載『その箱の中は地獄より深い』。マニアも唸るディープな分析から、ビギナー向けの実践的な解説まで、エフェクターの奥深い世界を独自の視点で掘り下げます。今回は、Xで募集した「読者の皆さまからの質問」にお答えする回をお届けします。(編集部)
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第30回:僕にも誰かを救うことができるでしょうか? Vol.2 <前篇>
Q:昨年発売された高松浩史Signature Modelに関して“Obsidian”と名付けた理由が知りたいです! 黒にこだわりがあることは説明されてますが、なぜ“Obsidian”なのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。
Obsidianですね。Obsidianは黒曜石という意味なのですが、このベースを弾いたときにゴツゴツしていて岩みたいな音だなと感じ、黒い石→黒曜石という流れですね。
ほかの候補として、黒い石つながりでOnyx(オニキス)もあり、こちらのほうが字面はかっこいいかなと考えていたのですが、最初に思い浮かんだ黒曜石にしました。
後付けですが、はるか昔、人類は黒曜石で武器を作っていたそうです。矢じりなど。そういった攻撃的な意味もついてきたので、Obsidianにして良かったなと思っています。
Q:現在メインで使われているフレットレス・ベースの詳細(ピックアップなど)やこだわっているポイントがあればを教えていただきたいです。
→ご質問ありがとうございます。
このベース、ESPのBass IVというモデルを改造したものです。色はフェスタレッドで、改造してピックアップはPJ配列という仕様でした。それをESPでリフィニッシュしてもらい、メイプル指板にも挑戦したく、ネックも作り替えていただきました。この時点ではフレッテッドだったのですが、フレットレス・ベースを全面的に押し出した曲を作ってしまったこともあり、最終的にフレットレスにしていただきました。
それで、個人的にはフレットレス・ベースはリア・ピックアップで鳴らした感じがすごく好みだったので、リア・ピックアップだけでも太い音が出せるようにハムバッカーにしております。現在はバルトリーニのMMタイプですね。フロント・ピックアップは確かフェンダーのPタイプだったと思いますが、配線はつながっていないのでダミーです。
メイプル指板のフレットレスって結構珍しいので、個人的にはおもしろいなと思っております。
Q:エフェクター・ボードを製作する際につなげるシールド、パッチケーブル、DCケーブルのメーカーは統一したほうが良いでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、揃える必要はないと思います。どちらかというと、音であったり、取り回しであったりを考慮して選ぶと良いかなと。実際に僕の使用しているケーブル類はいろんな種類のものが混在しています。
でも、例えば好みのパッチケーブルがあったとしたら、そこは統一しても良いかもしれませんね。楽器からエフェクターまでのケーブルとエフェクターからアンプやDIへのケーブルは長くなる分、ケーブルごとのキャラクターが出やすいように感じます。なのでまずはその2本をいろいろ試してみると良いかもしれません。僕はエフェクターからDIまでのケーブルはMOGAMI製2534で固定していて、楽器からエフェクターまでのケーブルでキャラクターを替えています。
Q:高松さんはエフェクターの外見をどれくらい気にしますか? 性能が良くても見た目がイマイチなら買わない、性能がイマイチでも見た目が好きだから買ってしまうようなこともあるのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。
エフェクターの見た目、すごく気にしますね。気にするというか、気になってしまうが正しいかな? ただ、音が良くて見た目が好みではなくても購入します。逆に音が好みでなくて見た目がすごく好みでも購入します。見た目も音も好みなのが理想ですね。
Q:ライヴでは会場の環境によって大きく作用されますが、どのように理想の音へ近づけていますか? また、環境の違いなどを想定して音作りしているのか、その場の状況に臨機応変に調整しているのでしょうか?
→ご質問ありがとうございます。
基本的な音色はラインの音で音作りし、ライヴ会場ではそこはあまり変えず、アンプや各エフェクターで調整していく感じですね。そのためにペダル型プリアンプを使用しています。ベースはアンプの音と同時にラインの音も出すことが多く、ラインの音のほうが再現性があるというか……会場が変わってもある程度近い音が出せるという考えです。
何か基準がないと迷宮入りするので、ラインの音を基準としています。ただ、その日の体調やらで聴こえ方、感じ方は若干変わってくるので、微調整は必要ですね。低域の出方や歪み感などは注意してその都度調整しています。
アンプからどんな音が鳴っているかだけではなく、実際にライヴ会場のスピーカーからどんな音が鳴っているかも重要だと思うので、PAさんとのコミニュケーションもとても大切ですね。
Q:張り替えたての弦の音が苦手で、それなりに弾き込んだ弦の音とのギャップでバンド・アンサンブルに合わせるのが難しいと感じています。以前高松さんもXで新品の音が苦手だとおっしゃっていましたが、新しい弦のベースをライヴで使うときには意図的に何か音作りを工夫したりされますか?
→ご質問ありがとうございます。
基本的には新しい弦の状態でライヴ本番を迎えないようにしています。ライヴ本番当日ではなく、スタジオ練習の前に張り替えて慣らしたり、前もって張り替えることがほとんどです。ライヴ当日にどうしても張り替えなくてはならない場合(例えば古い弦の音が裏目に出てしまったり)は、若干音作りは調整します。頭のなかでイメージしている“いつもの音”に近づけるという意識です。具体的には、ハイを少し抑えてミッドを少し足してあげる感じでしょうか。
Q:あまり機材と関係ない質問ですみません。サウンドチェックのときにいつも弾く曲やフレーズはありますか?
→ご質問ありがとうございます。
曲やフレーズではないですが、大体の内容は決まっています。PAさんに低音域の膨らみを確認してほしいので、4弦をわりとまんべんなくゆっくり弾いて、そのあとEのコードで各弦弾く感じですね。
◎後篇に続く(2026年2月公開予定)◎
◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。The Novembers、Petit Brabanconのメンバーとして活動中。そのほか、Lillies and Remains、[ kei ]、健康、松本明人のサポート・ベーシストも務めている。
◎Information
高松浩史 X Instagram
