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    第29回:今話題の【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】

    • Text : Hirofumi Takamatsu

    生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史(The Novembers/Petit Brabancon)による連載『その箱の中は地獄より深い』。マニアも唸るディープな分析から、ビギナー向けの実践的な解説まで、エフェクターの奥深い世界を独自の視点で掘り下げます。今回は、話題のPLAYTECH製プリアンプ“Navy Stomp”を高松さんが紹介します。

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    第29回:今話題の

    ベース・マガジンWEBをご覧のみなさま、ご機嫌いかがでしょうか。高松浩史です。

    2025年もあともう僅かでございます。今年も濃く、あっという間だったなという。

    とにかくThe Novembersの結成20周年公演を盛大にできたのは大きかったと思っております。

    さて、今回はこちら。

    PLAYTECH “Navy Stomp”です。

    PLAYTECH Navy Stomp
    PLAYTECH “Navy Stomp”

    いやぁ、こちらの製品、発売当初から気になっておりました。

    サウンドハウスさんのプライベートブランド、PLAYTECHの製品です。

    パッと見ても、

    ・プリアンプ
    ・コンプレッサー
    ・DI
    ・LINE INとPHONE OUT

    と、かなり多機能。

    メインのプリアンプやコンプレッサーの機能に加えて、DIとしても使え、かつLINE INにスマートフォンなどから音源を流し、PHONE OUTにヘッドフォンなどをつないで練習にも使用できるという。

    ちなみにサイズはSANSAMPやMXR Bass d.i.と同じくらいのサイズ感です。

    そのサイズ感にこれだけの機能を詰め込んで販売価格13,800円(税込/2025年12月現在)……!

    驚異的だと思います。

    前提というか注意点として、GAINとVOLUMEはエフェクトのオフ時にも効きます。

    この仕様と元々の製品の特性上、EQが12時の状態でペダルをオンオフするとオン時のほうが音量が上がってしまうため、スイッチャーで完全にバイパスした状態で試奏しています。この状態を「バイパスの状態」としています。

    また、僕の環境だとベースによってはGAIN 0の状態でも強く弾くとアタックが歪んでしまう(割れてしまう)ことがあるので、INPUTスイッチなども併用しつつ、歪まない(割れない)ポイントを探るのがスタートかなと思いました。

    ただ、この歪み(割れ)の感じが好みの方もいらっしゃいそうです。アタックがバリっと割れて、質感としてはおもしろいと思いました。

    こういったときにStudio DaydreamさんのTRIGGER 2はとても便利ですね。

    それでは各機能について。

    プリアンプ

    まずはメインの機能ですね。

    各EQは12時、GAINとVOLUMEで音量を揃えてバイパスの状態と比較すると、高音域が少し上がって、ハイミッドのあたりが少し下がるように感じました。そこまでいやらしい変化ではなく、相対的にローミッドのコシが感じられます。あと、これは気のせいかもしれませんが、MIDDLEが12時でもFREQによって若干音が変わる気が……。

    各EQ、効きがとてもよく、わかりやすくて好印象です。

    BASSは圧を感じるヌンというポイント、TREBLEは高めの帯域、チャリっとしたポイントに効きます。

    総じて原音に対して多少の色付けはありますが、扱いやすい音であると思いました。

    ただ、BLENDの効きは少し特殊に感じました。12時付近で音量が上がり、コントロールの位置で音量変化が大きいです。左右振り切りでぐっと下がる感じ。

    混ざりが悪い感じはないですが、変化がわかりにくいというか、大味に感じました。

    コンプレッサー

    COMPスイッチで独立してオンオフが可能です。プリアンプがオフでもコンプのみで使用できます。

    コントロールはCOMPとTHRESHOLDのふたつだけなので、設定は難しくはないですね。

    THRESHOLDは左に回すとコンプレッションが強くなり、音量も下がります。

    コンプレッサーの音色としては、綺麗にかかりますし味のある圧縮感で良いですね。

    ただ、音量調節が難しい。

    弱めにかかるように設定するとどうしても音量が大きくなってしまいます。なので、使用する際は割り切ってかけっぱなしでの運用が良いと思いました。

    まとめ

    まとめです!

    【良い点】

    ・EQの効きが良い。→音作りがしやすい。

    ・コンプレッサーのかかりがよく、音も良い感じ。

    ・とにかくこの値段でこのサイズでこの機能はすごい。

    【気になった点】

    ・GAINとVOLUMEがエフェクトオフ時にも効いてしまうため、単体での音作りがしにくい→かけっぱなしでの使用が前提か。

    ・コンプの設定によってはオンオフでの音量差が出てしまう。→やはりかけっぱなしでの使用が良さそう。

    ・MIDDLEの周波数が広すぎる&FREQのメモリに周波数も記載して欲しかった。(12時位置で800Hzなど、ざっくりでも)

    気になる点もありましたが、とにかくこの値段でここまで多機能でしたらその時点で正義ですよね。

    メインのプリアンプやコンプも音量設定が上手くいけば十分使いやすそうですし、安いからといって音やせなども感じません。

    DI機能などについてはまだ試せておらず……。

    こちらは追々試してみたいですね。

    ただ、価格帯的に初心者の方も手が出しやすい製品ですが、初心者向けにおすすめできるかというと非常に難しいなと感じました。

    音や機能、値段で見たら間違いなくおすすめできるのですが、操作性の面では癖があるので。

    仕組みや特性を理解して音を作り込む必要があるなという印象です。

    僕自体まだ把握できていない点は多々ありそうです……。


    以上、今回はPLAYTECH “Navy Stomp”のご紹介でした。

    気になっている方も多いのではないでしょうか。

    かなり独特ですが、練習などにも使用できるので、一台あると便利ではありますね。

    何かの参考になれば幸いです。

    さて、以前行ったQ&A企画を再びやりたく、現在質問を募集しております。

    こちらから!(※締切:2026年1月9日)

    初心者の方でも大歓迎ですので、ぜひぜひお気軽に。

    それでは、2025年も大変お世話になりました。

    2026年も何卒よろしくお願いいたします!

    ◎Profile
    たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。The Novembers、Petit Brabanconのメンバーとして活動中。そのほか、Lillies and Remains、[ kei ]、健康、松本明人のサポート・ベーシストも務めている。

    ◎Information
    高松浩史 X Instagram

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