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HM / HR界の雄“Charvel”をトラディショナルな装いで【Kroi 関将典のベース偏愛録:見た目で選んで何が悪い!】第7回
- Text & Photo (Bass) : Masanori Seki (Kroi)
- Photo (Main Image) : Kohei Watanabe
- Logo Design : Hirotaka Sudo (HOPSTEP)
「見た目で選んで何が悪い!」を合言葉に、Kroiの関将典が自身のベース・コレクションから“人と被らない”個性派ベースへの偏愛を語る連載の第7回。今回は、ヘヴィメタル/ハードロック界の雄として知られるCharvelの1本が登場。メタラーたちに愛されてきたブランドが、あえてトラッドな装いをまとったというユニークなモデルについて、関さんに存分に語ってもらいました。(編集部)
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第7回:Charvel製Pro-Mod San Dimas Bass
HM / HR界の雄“Charvel”をトラディショナルな装いで

CharvelのPro-Mod San Dimas Bassです!
関のモデルは4弦のPJタイプのモデルです!
わりとここ数年でリリースされたモデルなので、
ベーマガWEB読者の皆様には、ご存知の方も多いかと思います。
◎Charvelとは?
Charvelについての詳しい説明は、
シャーベル – Wikipedia
↑ こちらの受け売りになってしまうので割愛します。
“名前は聞いたことがあるけど、どんなブランドか知らない”という方も意外と多いと思うので、ぜひとも読んでみてほしいです。
ざっくりと紹介すると、アメリカのブランドで、メタルやハードロックなどが世の中に一気に浸透していった1970年代頃に創業されました。
今ではあらゆるメーカーが採用する、“ディンキー・シェイプ”と呼ばれる、フェンダー・スタイルのギターやベースより、スリムで尖ったフォルムや、メタルやハードロックなどのスピード感のあるフレーズやテクニカルなプレイにも対応できるような工夫がされたギターなどの祖を作ったメーカーとも言えます。
ディンキーとは、
・カット部分が深く、ハイ・ポジションにアクセスしやすい
・ネックが細い or 薄い
・鋭く尖った見た目がメタルやハードロックの音楽性との親和性が高い
・ギターでいうとフロイド・ローズ・タイプのブリッジとロックナットを採用してアーミングなどにも対応
etc……
個人的にはこういったイメージです。
◎Pro-Mod San Dimas Bassについて
そんなCharvelが2022年頃(?)にリリースしたのが、今回紹介するPro-Mod San Dimas Bassです。
Charvel(シャーベル)Pro-Mod シリーズ 新製品が発売! – chuya-online.comの楽器情報サイト「Discover」
ちなみにSan DimasというのはCharvelが創業したカリフォルニア州にある地名です。
こちらのモデルは70年代後半にCharvelが出していた、オリジナルSan Dimasベースのデザインを継承しつつも、現代的に仕上げたモデルです。
1983 Charvel San Dimas P-Bass – Featured In ’83 Catalog – Gloss Black | Reverb
↑ 昔のSan Dimas Bass
ボディシェイプなどはハイ・ポジションにアクセスしやすいカットの深さに面影がありますね。

ヘッドに関してはもともとコンコルド・ヘッドでしたが、フェンダーのライセンスを取得しているため、フェンダーと同じシェイプを採用しています。

これによって、あのメタルやハードロックとの親和性が抜群なCharvelが一気にトラディショナルな見た目になっています。
関はここにグッときてこのベースを購入しました。Kroiはロックももちろん基軸にあるのですが、ファンクやR&Bなどの影響が色濃いバンドです。そこであえてメタラーたちに長く愛されてきているCharvelを使ったらおもしろくない? というウルトラ自己満でバカな考えです。
同じ思考回路で、ほかにも候補がありました。
・DeanのML
DEAN GUITARS (ディーンギター)ML Metalman Classic Black – サウンドハウス
・B.C richのワーロックやモッキンバード
できればLAメタル最盛期のようなショッキングカラーのモデルがあれば……ある意味ファンキー。
イーグルは意外と当時のファンク・ベーシストたちが使ってる姿も見ます。安いモデルは持ってるのでいつかは当時のものが欲しい。
新製品動画速報! B.C.Rich / 1983 Warlock Bass – 楽器検索デジマート
これらの候補に関しては、ダイムバッグ・ダレルとケリー・キングをこよなく愛するギタリストの知り合いを見て、変形機材はケースなども含めて部屋を圧迫することを知っていたので今回は断念しました。いつかはやっちゃいたいですね。
話がだいぶ逸れてしまいました。
失礼しました。
そんなこんなで、自分が購入したこのPro-Mod San Dimas Bassは“Charvel”というネームバリューと、ナチュラルカラーにアイボリーのディマジオ・ピックアップ、そしてゴールドのハードウェアと一見トラディショナルなルックスで、とてもお洒落な仕上がりになっており、いい塩梅だったのです。
アイボリーのディマジオのピックアップはルックスも好きですし、パワーもあって、時代を感じられるのでめちゃくちゃ好きです。ほかのベースにもけっこう載せてます。
◎各パーツをチェック!
さて、それでは詳しく見ていきましょう。
個人的に、手に入れて1番魅力的に感じたのはネックです。
かなり細いのですが、キャラメライズド・メイプルで、グラファイト・ロッドも内蔵されているため、かなりビシッとした印象があります。
また、指板がナット側からヒールにかけて徐々にフラットになっており、それぞれのポジションでの演奏性を高める意図があるそうです。この辺はやはり早いパッセージの曲に順応してきたCharvelならではのノウハウや考え方が含まれているように感じます。


ヘッドは前述の通りフェンダー・シェイプです。

ボディはマホガニーで、こちらも前述の通り深いカッタウェイによってハイ・ポジションにアクセスしやすくなっております。
ピックガードは家に余ってた端材を切ったものを両面テープでつけてます。

ブリッジはオリジナルのCHARVEL HIMASS BRIDGEを搭載しています。
BADDASSやフェンダーのハイマス・ブリッジのように剛性があり、接地面も広く、よりサステインを伸ばしたり、レスポンスを良くする効果が期待できるブリッジで素敵です。

コントロールはアクティヴで、
・マスター・ヴォリューム(プッシュプルでアクティヴ/パッシヴ切り替え)
・バランサー
・3バンドEQ
です。
コントロール・ノブは、フェンダーのヴィンテージ・アンプ用のものをつけました。ピックアップと色が合っていないので、いいものを見つけたらいつかは交換するつもりです。

ネックの剛性から、ツアーや海外公演などにも安心して持ち込めそうだなと思い手に入れました。
しかしながら、個人的には少々パワーが強過ぎてしまう部分があるので、今後も使っていくなかで落とし所を見つけていきたいと思います。
さて、今回紹介したCharvel / Pro-Mod San Dimas Bass 。
いかがだったでしょうか。
現在では日本において、あまりメジャーなブランドではなくなってしまっているかもしれませんが、歴史のある魅力的なブランドです。
良し悪しや評判などの情報ソースが少なく、手を出しにくい部分もあるかと思います。
こちらでご紹介した内容が少しでも参考になれば幸いです。
このベースが気になる方はぜひとも一度手に取ってみていただき、ネックの握りやすさなどを実感してみてください。
それではまた!!
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Profile

◎Profile
せき・まさのり●1994年9月20日生まれ、茨城県出身。R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンドKroiのベーシスト。バンドは2018年2月に結成され、同年10月にシングル「Suck a Lemmon」でデビュー、2021年6月には1stアルバム『LENS』でメジャー・デビューを果たした。2024年1月20日には初の日本武道館ワンマン・ライヴを成功させる。2024年6月に3rdアルバム『Unspoiled』をリリース。Kroi公式FC「ふぁんく らぶ」では、自身のベースを動画で語る“せきまさのりのベースってそんなに必要ですか?”を更新中。
◎Information
Kroi HP X Instagram
公式FC ふぁんく らぶ
関将典 Instagram