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第26回「グラベルストーム」【高松浩史の音色探索 その箱の中は地獄より深い】
- Text : Hirofumi Takamatsu
生粋のエフェクター・フリークとして知られる高松浩史(The Novembers/Petit Brabancon)による連載『その箱の中は地獄より深い』。マニアも唸るディープな分析から、ビギナー向けの実践的な解説まで、エフェクターの奥深い世界を独自の視点で掘り下げます。
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第26回:グラベルストーム
ベース・マガジンWEBを御覧のみなさま、ごきげんいかがでしょうか。高松浩史です。
9月はPetit Brabanconのツアーをやっておりました。
いまだにこういった音楽性のなかでの“5弦ベースの音作り”というものには課題が残るというか、もっと良い音にできそうだなという伸び代を感じます。
次は来年3月にツアーがあるので、また一段階進化したいですね。
さて、今回は最近出会ったこちらをご紹介いたします。
SONIFIX “Gravel Storm Bass Overdrive”。

見た目がとても良いですよね。
スイッチが3つ、コントロールが4つと一見複雑そうですが、
コントロールは、
MASTER VOLUME:全体の音量調節
BLEND:原音とエフェクトの混ぜ具合の調整
LEVEL:エフェクトの音量
DRIVE:歪の量の調整
3つのスイッチは、右から
GRUNT:低音域の量感
HI BOOST:高音域の量感
CHARACTER:TONEの選択
なので、基本的なことは4つのコントロールで決めて、それに対して3つのスイッチの組み合わせでトーンを決めていくという感じ。
これ、いわゆるDarkglass系統の歪み(B3Kが近いかな)なのですが、しっかり音の太さや強さもあってすごく良いです。
3つのスイッチの効きがおもしろくて、シンプルながら意外と多彩。
個人的にDarkglassの機種はわりとしっかり目に歪ませたほうがキャラが生きる印象があるのですが、Gravel StormはDRIVEの効きの幅広さも相まって、ローゲインからハイゲインまでバッチリ対応しているので、どう使用しようか迷ってしまうくらい。
中域の成分もしっかり出ているので、スカスカにならずに扱いやすいですね。
ただ、歪みのクールな印象もあるので、その辺のバランスがとても良いなと思っています。
音作りのコツとしては、まずはスイッチはすべて下側、BLENDを左に振り切り(原音100%の状態)でMASTER VOLUMEをエフェクトオフの状態に合わせます。
次にブレンドを右に振り切り(エフェクト100%の状態)、歪み量やスイッチでトーンを決めていきます。(このとき、音量はエフェクトオフの状態と揃えること。)
この状態でBLENDを調整し、最終的にMASTER VOLUMEを調整、という流れがおすすめです。
どの状態でもかっこいい音になるので、迷っちゃいますよね。
個人的には少しゲインを控えめにして使うことが多いです。
派手なOver Driveというイメージ。
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さて、Gravel Stormのご紹介でした。
現状、実際に試奏できる機会は少ないみたいですが、弾いてみる価値はかなりあると思います。
Darkglassが好きなんだけどもう一歩何かが欲しいという方、似た方向性でバリエーションが欲しい方なんかにもおすすめです。
このメーカーさんはほかにもAURIONという機種も出していて、そちらもすごく良いのでぜひ紹介したいですね。
それでは、今回はこの辺で!
ご覧いただきありがとうございました。
◎Profile
たかまつ・ひろふみ●栃木県出身。The Novembers、Petit Brabanconのメンバーとして活動中。そのほか、Lillies and Remains、[ kei ]、健康、松本明人のサポート・ベーシストも務めている。
◎Information
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