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Xoticベース・モデル4種を森光奏太が徹底レビュー!
- Text:Makoto Kawabe
 - Photo:Takashi Hoshino
 
創業以来、オリジナリティ溢れる製品ラインナップでベース・シーンの中核を担うXotic(エキゾチック)。その確かなクオリティを備えたサウンドは、新進気鋭の若手から“レジェンド”と表される往年の重鎮まで、世界各国のベーシストを魅了し続けている。
今回はXoticのベース・モデルから4本を厳選。Xoticユーザーであり、dawgssでの活動のほか、YOASOBIのサポート・ワークなどでも活躍する森光奏太の試奏レビューを通して、各モデルの実力を徹底検証する。
XTB-1T 5st
モダンとクラシカルが融合した稀代の最新モデル


クラシカルな1954年スタイルのモデルをモチーフに、Xoticならではのモダンなセンスで完成させた2025年発売の最新モデル。アッシュ・ボディ、メイプル・ネック&指板で、ホワイト・ブロンドにゴールドのハードウェアを組み合わせ、ごくわずかな経年変化を演出するライト・エイジド加工を施している。XTB専用設計のシングルコイル・ピックアップには“1T”シリーズ共通のウッド・カバーを採用。トレブルとミドルの帯域を選択できるアクティヴ3バンドEQを搭載することもあって1ピックアップながら多彩な音色表現が可能だ。
◎Specifications
●ボディ:アッシュ●ネック:メイプル●指板:メイプル●スケール:34インチ●フレット数:21●ピックアップ:オリジナルOPB●プリアンプ:Xotic Preamp●コントロール:ヴォリューム(兼パッシヴ/アクティヴ切り替えスイッチ)、トーン、ベース、ミドル、トレブル、ミドル・フリケンシー・セレクター(400Hz/800Hz)、トレブル・フリケンシー・セレクター(6kHz/12kHz)●ペグ:ヒップショットLICウルトラ・ライト●ブリッジ:ヒップショットBスタイル・ブラス●カラー:ホワイトブロンド・ライト・エイジド●価格:495,000円


Morimitsu’s Review

自分のルーツでもあるソウルとかR&B系の音色。
キラキラしたヴィジュアルに対してすごくイナたい音ですね(笑)。ミドルの設定次第でパッシヴに近い音色にも寄せられますけど、パッシヴとアクティヴでだいぶ音色キャラクターが変わります。ほかの1Tシリーズと同じプリアンプEQですけど、効き方の印象が全然違いますね。トレブルは6kHzが好みですね、この楽器に合った帯域で効いているように感じます。自分のルーツでもあるソウルとかR&B系の好みの音色なんですけど、ちゃんと抜けてくれそうな音なんですよね。楽器の音色が生かされるジャンルで弾きたい、聴きたい楽器です。
XJ-1T 4st
圧巻のルックスを纏った即戦力の4弦モデル


まるで長年にわたって弾き込まれたかのようなスーパー・ヘヴィ・エイジド仕様が強烈なインパクトを与える2トーン・サンバーストの4弦モデル。アッシュ・ボディにメイプル・ネック&指板と1970年代のモデルを彷彿させるスペックで、サウンドのアウトラインもその傾向だが、優れた演奏性や音色バリエーションの豊富さなど、間違いなく現代的な楽器であり、“今”のXoticの持ち味がいかんなく発揮された一本。“1T”シリーズ共通の18Vアクティヴ3バンドEQを搭載し、ピックアップのシリーズ/パラレルを切り替え可能など、多彩なコントロールも魅力だ。
◎Specifications
●ボディ:アッシュ●ネック:メイプル●指板:メイプル●フレット数:21●スケール:34インチ●ピックアップ:Raw Vintage JB 4st×2●プリアンプ:Xotic Preamp●コントロール:フロント・ヴォリューム(兼アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ)、リア・ヴォリューム(兼パラレル/シリーズ切り替えスイッチ)、トーン、ベース、ミドル、トレブル、ミドル・フリケンシー・セレクター(400Hz/800Hz)、トレブル・フリケンシー・セレクター(6kHz/12kHz)●ペグ:ヒップショットLICウルトラ・ライト●ブリッジ:オリジナル●カラー:2トーン・サンバースト・スーパー・ヘヴィ・エイジド●価格:473,000円


Morimitsu’s Review

どこを弾いても綺麗な音色が同じレベルで鳴ってくれる。
これはナチュラルなコンプ感があるというか、どのポジションを弾いても綺麗な音色が同じレベルで鳴ってくれます。普通の楽器だったらボヤけそうな帯域がボケないので、ちょっと歪ませるだけでも本番で使えそうです……(実際にエフェクターで歪ませて)うん、やっぱり違和感ないですね。パッシヴはナチュラルさが良い感じですけど、アクティヴは手元のEQで微妙に補正できるのが良いですね。綺麗な楽器は“僕と楽器”っていう感じですけど(笑)、ヘヴィ・エイジドは身体に馴染む気がして好きですね。音色にも影響していると思います。
XJ-1T 5st
多彩なコントロールを有する象徴的5弦アクティヴJB


“業界標準の5弦アクティヴ・モデル”の地位を確立しつつある、プロ/アマ問わず多くのベーシストから愛用されるXJ-1T 5st。本器はアルダー・ボディ、メイプル・ネック、ローズ指板で、マッチング・ヘッド仕様のヴィンテージ・ホワイト・カラーに、ほどよい経年変化を演出するミディアム・エイジド加工が施されている。ハードウェアにも適度なエイジド加工が施されているが、演奏や調整の妨げになるようなダメージは加えていない。XJ-1Tの4弦モデルやXoticの現行他モデルはすべて21フレット仕様なのに対して、XJ-1Tの5/6弦モデルのみ22フレット仕様となっているのも特徴だ。
◎Specifications
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●フレット数:22●スケール:34インチ●ピックアップ:Raw Vintage JB 5st×2●プリアンプ:Xotic Preamp●コントロール:フロント・ヴォリューム(兼アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ)、リア・ヴォリューム(兼パラレル/シリーズ切り替えスイッチ)、トーン、ベース、ミドル、トレブル、ミドル・フリケンシー・セレクター(400Hz/800Hz)、トレブル・フリケンシー・セレクター(6kHz/12kHz)●ペグ:ヒップショットLICウルトラ・ライト●ブリッジ:オリジナル●カラー:ヴィンテージ・ホワイト・ミディアム・エイジド●価格:473,000円


Morimitsu’s Review

5弦の低音域はローがちゃんと鳴ってるけど暴れない。
ローズ指板の楽器は音色の深みや柔らかさがあるというか、いい意味で少し重心が下がる印象がありますね。普段オクターバーを常用していることもあって、ローに関してはいくらでも出せると思っていて、最近はハイを重視しているんですけど、これはローズ指板とはいえ、しっかりハイも鳴っている印象です。そして5弦の低音域はローがちゃんと鳴ってるけど暴れない。高音域にもローがちゃんとあって、プルでハジいてもまとまって包んでくれる印象です。パッシヴのフロント単体でも良質なPBに似た独特の抜け感がありながら散らずにまとまるのが良いですね。
XJ-Core 5st(Active)
国境を越えた技術が織りなす新感覚の逸品


XJ-Coreは楽器の芯(CORE)となる部分をアメリカ国内で手配し、そのほかの塗装、組み込み、最終調整といった工程を日本で手がける“カリフォルニア・コア”シリーズの第一弾モデルだ。本器は米国で加工されたアッシュ・ボディとメイプル・ネック&指板、リンディーフレーリン製Jタイプ・ピックアップ、バルトリーニ製TCTアクティヴ・プリアンプ、レオ・クアン・バダスⅤブリッジ、ヒップショット製ウルトラ・ライト・ペグといった厳選されたパーツ類を搭載。信頼性の高いマテリアルや定評のあるモダンなパーツと日本の優れた製作技術が融合した逸品だ。
◎Specifications
●ボディ:アッシュ●ネック:メイプル●指板:メイプル●フレット数:21●スケール:34インチ●ピックアップ:リンディーフレーリンJB 5stカスタム×2●プリアンプ:バルトリーニTCT●コントロール:ヴォリューム、バランサー、パッシヴ・トーン(兼アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ)、トレブル/ベース(2軸2連)●ペグ:ヒップショットLICウルトラ・ライト●ブリッジ:レオクアンBADASS V●カラー:ブラック●価格:621,500円


Morimitsu’s Review

主役にも脇役にもなれそうな音色の楽器だと思います。
自分が普段使っているパッシヴのXJ-Coreとは全然違いますね(笑)。ローBの低音感がすごい。あ、でもパッシヴにすると似た音色になります。EQの効きがスゴイですけど飽和しないのも良いですね。全体的に大きな会場に適していそうな音色傾向かな。ピックで1弦を弾くと引っ込むか前に出過ぎるかになりがちですけど、しっかり鳴ってくれます。ペダルEQなしでも音作りできそうですし、エンジニアさんがエディットしたみたいな完成された音が出てきます。主張が強くて存在感がある。主役にも脇役にもなれそうな音色の楽器だと思います。
Total Review
試奏を終えた森光に改めてXoticのベース・モデルの所感を聞いた。
“これからの音楽に対して挑戦していけそうな楽器”ということですね。

もりみつ・そうた●1998年、広島県出身。須藤満に影響を受け、小学校4年生よりベースを始める。18歳で上京後、プロ活動を開始し、YOASOBIをはじめとしたさまざまなアーティストのサポートを務める。また自身のソロ・プロジェクトdawgssでも精力的に活動を展開している。
X
僕が高校生のときに初めて買ったハイエンドの楽器がメイプル指板のXJ-1T 5stだったんです。それで良いベースの音を学んだというか、自分のなかでの基準ができました。ネットで買ったんですけど、試奏せずに買っても大丈夫だったのは製品のばらつきがないXoticのおかげだったのかなと思います。
レコーディングではヴィンテージの楽器も使うんですけど、Xoticの楽器はそんなにヴィンテージとの差を感じないんですよね。(他社の)現行のパッシヴ・ベースと違ってヴィンテージの楽器がそのまま5弦になったみたいな感じで、そこが強みだとも思います。今、自分が使っているXJ-Core 5stがまさにそんな感じで、自分のプロジェクトの音楽性にも合っているし、パッシヴ・ベースだけど芯があって、独特のハイの抜け感とか他社の5弦ベースでは出せない音色の個性もあるんです。シーケンスが鳴っているような音数の多い現場では全部の帯域が出ているアクティヴ・ベースじゃないと厳しい面もありますけど、セッションとかひとりひとりの音をしっかりと聴きたい現場ではこっちのほうが使いやすいと感じています。
いわゆる“ソフト・コンプ”というか、整った音色は自分が楽器を演奏するうえで必須条件なんですが、Xoticの楽器は荒く弾けば荒く、繊細に弾けば繊細に出てくれて、なおかつ行き過ぎないのが良いんですよね。単なるビビりではない鈴鳴り感というか、弦とフレットの擦れてるニュアンスもXotic特有の良い抜け感につながってるのかなと思います。最近は歪みエフェクターありきの音作りをしているんですけど、今日弾いた楽器はどれも歪みとの相性が良くて、ベースの芯の音と歪みが分離せずに鳴ってくれますね。
自分を含めてベーシストは誰しもヴィンテージやオールドの楽器の音色に憧れや安心感を持っていると思うんですけど、今日改めてXoticのベースを弾いてみて感じたのは、そういった王道の音色ではありつつもキャラが立っていて、なおかつ弾きやすい。“これからの音楽に対して挑戦していけそうな楽器”ということですね。自分とXoticさんとの関係性でいろいろなことを試させてくれるという面もあるんですけど、“これからのベース”を共に作っていけるブランドだと感じています。
現在発売中のベース・マガジン8月号では、Xoticの特集を全15ページで展開中!
改めてブランドの歴史を振り返るとともに、使用するプロ・ベーシストへのインタビュー、生産拠点のレポートなど、盛り沢山の内容でXoticの真価に迫っています。


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