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モノネオンが語る愛器:Fender / MonoNeon Jazz Bass V【My Dear Bass】
- Translation & Text : Tommy Morley
- Photo : Hiroki Obara
プロ・ベーシストが愛器への想いを語り尽くす連載「My Dear Bass」にモノネオンが登場!
モダン・ファンク・ベース・ヒーローの筆頭=モノネオンが愛用するフェンダーのシグネイチャー・ベース。トラディショナルなスタイルに盛り込まれた、彼ならではのさまざまな“カラー”=モノネオンの流儀について語ってもらおう。
モノネオン所有の
Fender / MonoNeon Jazz Bass V
DATA
●入手年:2022年●ボディ:アルダー●ネック:ローステッド・メイプル●指板:ローステッド・メイプル●ナット:ボーン●スケール:34インチ●フレット数:22●ピックアップ:フェンダーCustom Fireball 5-string Bass Humbucking×2●コントロール:ヴォリューム、バランサー、トレブル・ブースト/カット、ミドル・ブースト/カット、ベース・ブースト/カット、アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ●ブリッジ:フェンダー5-Saddle HiMass
プロトタイプを手にしてすぐに
何も変更しないように伝えたよ
僕はジャズ・ベースの多彩なサウンドに慣れ親しんでいたから、シグネイチャー・モデルもジャズ・ベースにしたいと思っていた。どんなカラーにするのか伝えたけど、それと同時にフェンダーには自由にアイディアを試してくれって頼んだ。それがうまくいったってことだね。彼らはプロトタイプを送ってくれて、手にしてすぐに何も変更しないように伝えたよ。それだけこの楽器を気に入り、すぐにツアーに持ち出して以来ずっとクールな楽器として僕を支えてくれているよ。
ネックのデザインと木材についてはちょっとこだわっていて、ローステッド・メイプルを指定したんだ。これが唯一、僕から細かく注文を付けたことじゃないかな。
ハムバッカーにこだわったのはその高い出力と太くて分厚いサウンドが欲しかったからで、ぜひ自分のベースに搭載したかったんだ。設計する際には“太くて力強いサウンドになるようにして欲しい”と伝えただけだったからね。
あと18Vのプリアンプもリクエストしたよ。これもとにかくビッグなサウンドで鳴らしたかったんだ。EQの操作に関しては大抵ベースとトレブルはフル、ミドルは真ん中あたりにしている。いざソロをプレイするってなるとミドルをフルにし、ブリッジ・ピックアップをフルで使っているね。
最近スペインのミュージシャンと一緒にジャズやフラメンコっぽい音楽をプレイした動画をSNSにアップしたけど、耳を頼りにいろいろ試してアコースティックなサウンドを作ったんだ。ブリッジ・ピックアップを少し多めに使ったのもポイントかな。ああいうタイプの音楽をあのレベルのベテランたちと一緒にプレイするのが初めてだったから、彼らを少しでも驚かせたくてやった部分もあるけど、何が合うかを耳で確かめながらプレイすればたくさんのことができると思うよ。
このベースは激しいリズムからアコースティックなものまで何でもできてしまうくらい、間違いなくパーフェクトだから今でも使い続けている。フェンダーだから無条件で良いって言っているわけじゃなくて、本当にすばらしい楽器なんだ。
Profile
モノネオン●1990年、アメリカ・テネシー州メンフィス生まれ。4歳からベースを始め、数々のファンク・バンドで活動。ユニークな動画配信が注目を浴び、プリンス、ニーヨ、NAS、ハーヴィー・メイソン“カメレオン”などとの共演で一躍人気ベーシストに。本来は右利きだが、右利き用ベースをそのままひっくり返して左利きスタイルで演奏する、リヴァース・スタイル・プレイヤー。ソロ活動も旺盛で、毎年複数作のアルバムやEPをリリースしている。
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Information

『You Had Your Chance… Bad Attitude!』
モノネオン
Floki Studios
2025年5月にリリースされた最新ソロ・アルバム。80年代的キラキラ感をまといつつ、ファンクやR&Bの歴史を総括するかのような奥深さも内包した作品だ。急激なテンポ・チェンジが爽快な「I wish you well」、クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム(g)が絶品なソロを聴かせる「Mama I Really Love You」などは必聴。時にウッド・ベースを思わせるモノネオンのベース・サウンドと極上のグルーヴもたっぷり堪能できる。