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    INTERVIEW – 高松浩史[Petit Brabancon]

    • Interview:Fuyu-Shogun
    • Photo(Live):Kazuro Aoki,Yuki Kawamoto,Takao Ogatata
    • Photo(Bass):Hiroki Obara

    円熟味を増した、深き/重き低音

    Petit Brabanconが8月7日にリリースした2nd EP『Seven Garbage Born of Hatred』は、広い音楽性の振り幅を見せた前作とは対象的に、バンドの本質である獰猛なアンサンブルと激しいサウンドに特化した作品である。“モダン・ヘヴィネス”と呼ばれた90年代後期のニュー・メタルやオルタナティブ・ロックを想起させながらも、シーンの猛者が集まった彼ららしい最新型のヘヴィ・ミュージックを轟かせている。そうした音楽性を通らず、Petit Brabancon加入以前には5弦ベースにも触れたことのなかった高松浩史は、この猛者バンドのなかでどう重低音を支えているのだろうか。冷静で実直な彼だからこそ成せるベースへの向き合い方を、プレイや機材周りを軸に現在開発中である新シグネイチャー・モデルに至るまで、話を聞いた。

    メロディに対してベース・ラインが動くと邦楽っぽいというか
    日本人っぽくなる感じがするんですよね。

     はい、yukihiroさんのスタジオでラインを録って、後日、ギターのレコーディングに合わせてリアンプをして音を作っていく形でした。

     最初の頃、特に1枚目は、僕が右も左もわからない状態だったということもあって、yukihiroさんがいろいろとアイディアを出してくださいました。最近は、基本的には僕が考えたものを良い感じにレコーディングしていくという形です。“ここで休符を入れてみたらどう?”みたいなアドバイスはあったりしますけど、そこまで大きく元の状態から変わるようなことはありませんでした。

     そうですね。

    『Seven Garbage Born of Hatred』
    DANGER CRUE RECORDS
    DCCA-129(完全限定盤)
    DCCA-130(一般流通盤)

    ——「dub driving」のイントロ〜Aメロに関して、yukihiroさんはかっちりとしたリズムで考えていたけど、高松さん的にはルーズに弾くほうがいいということで、やってみたらいい感じになって、それが採用されたんですよね?

     やっぱり人によって、“こうしたほうがいいんじゃないか”っていうのはあると思うんです。それでたまたまyukihiroさんとは少し違う目線でトライしてみたんですよね。「dub driving」はそれが良い方向に行ったんです。そういうことで揉めたりとかはないですけどね。

    ——プレイを楽曲に合わせていくことはもちろんだと思いますが、自分なりの解釈やスタイルを楽曲に落とし込んでいく、という意識も強いのですか?

     ”この曲はこうだから、こういう風に弾こうかな”くらいですかね。特に強く意識しているわけではないです。基本的にはデモを基にして、アレンジが必要なところがあればしていく。デモの段階では、ベースは打ち込みで入っていることが多いので、アレンジの幅をこちらで想像できる余地はすごくあるんです。だけど、やっぱり作曲者の意図みたいなものは、汲み取りきれなかったりするところもあるのかもしれないので、その辺は一長一短かなとは思います。

     なんと言いますか、antzさんの曲は洋楽っぽい、ミヤさんの曲は邦楽っぽいところがあるのかなって……これはちょっと僕の大雑把な解釈なのかもしれないですけど、メロディに対してベース・ラインが動くと邦楽っぽいというか、日本人っぽくなる感じがするんですよね。逆にアレンジを含めてベースがシンプルだと、洋楽っぽいというか。シンプルにすれば洋楽っぽいというのではなく、海外のバンドって、シンプルなものが多いなっていう印象ですね。だからantzさんの曲は僕のなかではそういう洋楽っぽい印象があるんです。でも今回の作品には全体的にストレートな曲が多かったので、僕もアレンジしすぎない方向で弾いています。

     最初からガチガチに“こう弾いてくれ”みたいに決まっていることは、ほぼないです。デモに対して僕がベース・ラインを付けたうえで、“それだったら、こうしてほしい”みたいな、そういうことはありますね。ただ、それも“全然違う”と言われたことはないので、ある程度、作曲者の考えに沿うことができているのかなとは思っています。

     リズムが難しいぶん、プレイヤーのグルーヴがもろに出てくると思うんですよ。なので、そのへんは意識したんですけど、どちらかというと“yukihiroさんがこうだから、こういう感じかな”っていう、曲のリズムを基にしたアプローチの仕方に重きを置いています。やっぱりドラムありきだと思っているので。“ドラマーがこう来たから、ベースはこういうグルーヴが出せたら良いな”という、そういう取り組み方ですね。

    ——ドラムと一体になることが重要であると。単純にチューニング低くて、シャッフルだとピッキングも含めてプレイ自体はすごく難しいですよね?

     弦が太いと、いろいろ弊害があるんだなっていうのは、Petit Brabanconを始めて痛感しました。やっぱり細かい刻みとか、かなり難しいですよ。

     しっかりピッキングするくらいですかね。ただ、特に5弦は力を入れすぎると、良くないことが多いので、力まないように気をつけています。そのへんの細かい気遣いは常にあります。

    前列が京(vo)。後列が左から、高松浩史(b)、ミヤ(g)、yukihiro(d)、antz(g)。

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